異世界でも社会不適合者の俺だけど女の子助けたら貴族に気に入られて勇者パーティの女の子全員(巨乳)に愛されだしたんだけど、俺なんかやった?

にこん

第1話 イフリート、不合格、飛ぶ

「それでは入団試験を行います」

「はい。名前はイフリートと申します。趣味は筋トレです」


俺は貧相な筋肉を見せつけた。


いわゆるムキムキではなく、俺は平凡的な肉体だ。

しかし、筋肉はあると思う。


「は、はぁ、」

「あれ、だめですか?」

「あ、いや。ダメでは無いですけど、それより次の質問いっていいですか?」

「どうぞ」

「魔法は使えたりしませんよね?」

「逆に聞きますがどの魔法を使えたらいいですか?」

「あ、えーっと。ファイアボールとか使えたりしますか?」

「余裕ですよ、余裕。少しお待ちください」

「なんでシャツ脱いでるんですか?」


シャツを脱ぐと丸めて左手に持った。

右手で指パッチンのポーズ。


パッチーーーーーーーーン!!!!


指パッチンして摩擦熱で火を起こすとシャツに火をつけた。


「これが筋肉魔法のファイアボールですっ!」

「……」


ヒソヒソ。


他の面接官と話をしていた。


「では、その火を消して頂けますか?」

「おまかせを」


スゥゥゥゥゥゥゥッ。

息を吸って吐きながら左手を前に突き出した。


「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!Foooooooooooo←ooooooo→ooooooo↑」


ブォン!

拳を突き出した時の風圧で風が巻き起こる。


俺の髪や面接官の髪が荒れる。


「これが筋肉魔法のウィンドです。ちなみに全力を出せば台風も起こせます」

「不合格です」




田舎で育ってこの街に来て2日目くらいの俺、1日50パーティくらいの入団試験に応募した。


そして、通算100回目くらいの不合格で俺は心が折れていた。



「あーあ。明日からどうすっかなぁ」


酒場にやってきて浴びるほど酒を飲みながら俺は考えていた。


異世界に転生して18年くらい。


前世で聞いた言葉『筋肉は裏切らない』を信じて俺は筋トレしてきた。


その結果指パッチンで火を起こせるようなレベルにはなったが"本物"の魔法はだめだった。


そしてあろうことかこの世界【魔法】と【剣】が支配する世界なのだ。


俺はどっちもだめ。

そのため、今こうなっている。


パーティに入団しようと思っても、魔法も剣も使えない俺は門前払い。


筋肉魔法を魔法と言い張っているがそれでもダメだった。


今日も門前払いだ。


「はぁ……」


ため息を吐きながらジョッキの中に指を突っ込んだ。

ひんやりと冷たい酒が指に当たって気持ちがいい。


クルクルクルクルクルクルクルクル。


そのまま回していくと洗濯機のように渦ができる。


そして、そのままジョッキから指を引き上げていく。


ギュオオォォォォォォォォオオオォ。


ジョッキから飛び出した渦は円柱となって天井へ向かっていく。


ガチャン。


それを見ていたウェイトレスが持っていた料理を落としていた。


その反応が面白くて俺はその酒を更にいじる。


「あ〜らよっと」


立ち上がって右手と左手を使い液体を動かす。

散髪屋でクルクル回ってる赤白のバーを横に倒した感じのスパイラル。


「なんだあれ」

「おいおい、どうなってるんだ魔法か?」

「いやあんな魔法見たことないぞ」


俺はそんな声が嬉しくて言った。


「いつもより回っております」


クルクルクルクル。


そのまま酒を動かして今度は水球状態にした。


「どうなってんだあれ」

「分かんねぇwww」

「いいぞー兄ちゃんもっとやれーwww」


そんな声が聞こえてきて気を良くした俺は水球からドラゴンを作り出した。


「グォーーーー」


あーん。


そのままドラゴンを口の中に飛び込ませた。


ゴクン。


「ありがとうございましたっ!」


パチパチパチパチ。


拍手が上がってきた。


「おいおい、ありゃマジシャンだ」

「サーカス来てたっけ?」


そんな声が聞こえてきて俺は座り直した。


次の料理でも頼もうかと思った時だった。


コツコツコツコツ。


足音が聞こえてそっちを見た。


初老のタキシード姿の男がいた。


「見事だ。少年。これはいいものを見せてくれたお礼だ」


そう言って俺の胸ポケットに金を入れてきた。


取り出して数えてみると。


「5万も?!いいんですか?!」

「ふぉっふぉっふぉ。いいんじゃよ。いいんじゃよ。気にしないでくれ」


気を良くして俺は更に言った。


「おねえぢゃん!おねえぢゃん!酒もう一本」


更なる高みを目指そうとした時だった。


カランカラン。


酒場の扉が開いた。

そこから入ってきたのは薄汚れた女の子だった。


「だ、誰か助けてください。お母さんがワイバーンにさらわれちゃった」


誰もが鼻で笑っていた。


そんな中騎士風の男が近寄った。


「お嬢ちゃんいくら出せる?」


ゴソゴソ。


「こ、これだけしかないです」


ぐすぐす。


泣きながら取り出したのは小遣いくらいの額だった。


「それじゃ受けられねぇな、ごめんよ。レンタルワイバーン代金にもなんねぇよ」


そう言って騎士は戻っていった。


「だ、誰かぁ」


俺は立ち上がって嬢ちゃんの前まで歩いていった。


「嬢ちゃん。お母さんってのは美人か?」

「うん。ママはキレイ」

「案内してくれよ、助けてあげるよ」


さっきの騎士が話しかけてきた。


「兄ちゃん。ワイバーンのレンタル料金は知ってんだろ?マイナスだぜ?」

「大丈夫。俺飛行魔法使えるから。ワイバーンいらねぇんだわ」


ザワザワ。


「あの伝説の飛行魔法を使えるのか?歴史上ほとんど使えるやつが居なかったって噂だ」

「ただ者じゃねぇなあの男!」


そんな声が聞こえた。


俺が料金を支払って店の外に出ると野次馬たちも着いてきた。


俺は女の子に案内されながら近くの家の屋根に上った。


「お兄ちゃん、あっちなの。お母さん運ばれていっちゃった」


騎士が言った。


「あっちの方にはワイバーンの巣がある。割に合わないぞ」


騎士に俺は言ってやる。


「割に会うだけの褒美はお母さんからもらうさ」


そう言って俺は両手を広げた。


ちょうど【Y】みたいな感じだ。


「何をしている?」


怪訝な目で俺を見てくる騎士。


「杖は使わないのか?飛行魔法だろ?」


そう聞いてくる騎士に答えた。


「アイビリーブアイキャンフラーイ!」


バタバタばたばた。


必死に両手を動かすと空中に浮かび上がった。


「おいおいおいおい!浮いてるぞこいつ!」

「鳥かよ?!こいつ!」


女の子が羨望の眼差しを向けてくる。

お目目キラッキラ☆


「お兄ちゃんすごい!飛んでる!鳥さんみたい!」

「がははは。人は自分を信じれば空をも飛べるのだっ!お前も歌え。アイビリーブアイキャンタッチザスカーイ」


俺はそう叫んで鳥のように飛んで行った。


その後ろからこんな声が聞こえる。


「あいつの飛び方シュール過ぎるだろ」

「T字型で飛んでってるよ」

「おいおい!でもあいつ飛行魔法の使用者なんだぞ?!すげぇよ?!」


そんな声が聞こえてくる中俺は両手をばたつかせて飛んで行った。


そうして空を飛んでいると下から声が聞こえてくる。


「お姉ちゃんなにあれ?!変なのが空を飛んでる!」

「あ、あれはきっと未確認生物よ?!おかぁさぁあぁぁぁん!!!!衛兵呼んでーーー!!!変なのがいる!」


俺は更に速度を上げて飛んで行った。


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