第19話 元プロゲーマー、あいつ四天王だったの?と驚く

「あら、もう一人カモが来たわね」


 目の前には女悪魔がいた。ルシファのバフをかけたアクアが吹き飛ばされていた。


「大丈夫か!?」


「え? ユリウス様……? どうしてここに……? あ、もしかしてユリウス様のところはハズレで何もなかったんですね?」


 アクアはゆっくりと立ち上がる。


「残念です。私達だけの力で倒したかったんですけど」


「いや……いた事にはいたんだが……そうだな。ハズレというのは間違いないけれど」


 俺は先ほど倒した悪魔の角を取り出す。


「思ったよりも強くなかった。だとしたら、こいつが本命の悪魔だ。気を引き締めるんだ」


「は、はい! 分かりましたユリウス様!」


「あの、一応……悪魔って簡単に倒せるものじゃないんですけど」


 マキナが何か言っているが、俺は聞かなかったことにしよう。だって事実として簡単に倒せちゃったんだもん。別にそこに関していえば俺は悪くない。


 しかし目の前の悪魔は狼狽えていた。


「う、嘘だ!! まさか……その角は四天王アザゼル様のもの……! その角をどこで!?」


「え? 今、四天王って言った?」


 いや、まさかな。俺の聞き間違いだろう。


「うるさい!! 答えろ! 貴様が持っているのは我が主アザゼル様の角!! それをどこで手に入れた!!」


 どうやら、相手はご立腹のようだった。


「えっと……ユリウス様は四天王だと知らずに倒されたのですか?」


 ルシファが俺におそるおそる尋ねる。


「いや、だって急いでいたから……」


「さすがですね……!」


「いや、なんかそう言っていられる雰囲気じゃなさそうだけど?」


 目の前の女悪魔は明らかに黒いオーラを発している。


「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないぃぃぃいいいいいいい!!!!! 貴様だけは絶対に許さない!!」


 女悪魔は俺を睨みつけて、


「四天王アザゼル様の秘書――ミスリナが貴様を殺す!! この魂を邪神に売ってでも!!」


 そう言って、女悪魔アザゼルは自分の心臓に刃を突き立て、天に向かって血を吐いた。


 そしてミスリナの身体が異形の姿に変化する。


『アハハハハ!! 漲るこの力!! 貴方を殺したついでに世界も壊してしまおうか!』


 なるほど、一筋縄ではいかなそうだ。


 不謹慎ながら笑みがこぼれる。


 それだけ強大な相手だと確定しているのだから。


「やっぱり無理ゲーな予感がするほど燃えるよな」

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