第17話 元プロゲーマー、分かれ道を攻略する

「分かれ道ですね」


 マキナがそう呟く。目の前には二股に分かれた道があった。必ずどちらかに行かないといけない以上、ここでの選択が重要になってくる。


「そうだな……どっちに進もうか」


 俺には地図スキルがある。だからどちらかに進んで迷ったとしても引き返せるけれど、無駄に時間をかけたくない。


 俺は全神経を集中させる。


 洞窟のダンジョンはたまに風が抜けるパターンがある。少なからず空気の入れ替えが発生しているからだ。つまり入り口と逆方向の風を感じることができれば、おのずと進むべきゴールは見えてくるのだが……


「どっちもゴールに繋がっているパターンか」


 俺がそう呟くと、アクアが俺に問いかけてきた。


「え? どうして分かるんですか? ユリウス様、風系統のスキルなんて持っていないですよね?」


「いや、普通に風を感じただけなんだけど」


「普通に風を感じた!? スキルもないのに風を感じてゴールが分かるなんて普通じゃないですよ!?」


 何故かアクアは驚いていた。フルダイブ型VRMMOで少なくとも上位を目指すなら必須スキルだから、普通じゃないと言われても困るな……。


 と思っていると、アクアは何かを言いたげに迷っていた。


「どうかしたか?」


「あ、あの……私達! ユリウス様とは別の道に挑戦しても良いでしょうか!?」


「それは……もうちょっと考えよう」


 気持ちは分かる。俺だって本音を言えば一人で挑戦したい気持ちはある。だがもしもアクアが選択したルートに悪魔がいて、アクアとクリアが想定するよりも強かったら? もしも想定外の罠があったら? 


「少なくとも二人では行くのは危険すぎる」


 アクアとクリア、二人とも実力はあるのかもしれない。


「あの……よろしいでしょうか?」


「ルシファ? どうしたんだ?」


「私もアクアさん達に付いていくので……バフもかければ一旦は安全ではないでしょうか」


「いや、そうかもしれないけど」


 たしかに、アクアとクリアの素質は高い。それにルシファのバフもかければ大抵の敵には負けないだろう。


 それでも初めてのダンジョンは慣れていないと何が起こるか分からない。いくらアクアとクリアが強かったとしても、危ないことには変わりない。罠だってあるかもしれない。


「ユリウス様!! お願いします!! 私、絶対に勝ちますから」


 すごい熱意なのだけれど……、


「ご心配でしたら、今からかけますね……安心して下さい。もちろん私も戦いますから」


 どうやら表情に出ていてみたいだ。


「では【エンチャント】」


俺達の周りに光が包む。


「すごい!! なんだか力が沸き上がってきます!」


「……(ふんすぅ!)」


 アクアとクリアは目を輝かしている。たしかにルシファのバフを最初に受けた時は勘当した。心の奥底から力が溢れ出る感覚。現に今の俺も同じように、ものすごく力が沸き上がってきて――、


「あれ? ルシファ……もしかして、俺にもバフをかけた??」


「あっ! 申し訳ありません! すぐに解除します! 【ディスペル!】」


 お、なんか身体が重くなった。これはバフが解けた証拠だ。


「いつ見てもルシファのディスペルはすごいな」


「えへへ……褒められると嬉しいですね」


「もう、このやり取りに違和感を抱かなくなった私が怖い!!」


 マキナは顔を隠して嘆いていた。別に驚くことのものでもないだろう?


「これで最速でダンジョンの攻略ができますね」


「ルシファ……」


 ルシファの言いたいことは分かった。だとしたら俺がやらなければならないことは……自分のポリシーを守りつつ最速でダンジョンを攻略すること。やるしかない。


「そういえばマキナはバフ貰っていいことあるのか? 戦いには参加できないだろ?」


「どうでしょう……逃げ足とか早くなるんじゃないですか??」


「それは女神としてどうなんだ?」


 といいつつも三十六計逃げるが勝ちというように生きる上では間違ってはいないのかもしれない。俺個人として、面白みはまったくないから、そんな気さらさらないけれど。


「さて、だとしたらさっさと攻略するか」


今来たところは地図スキルでマッピングしたから問題ない。


 だとしたら、俺が一つだけ。


「じゃあ、いっちょやってやりますか」


 俺は一人ダンジョンの奥に向かって駆けだすのであった。


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