第5話 元プロゲーマー、隠し部屋を見つける

「思ったよりも単調な構造なんだな」


「そうですね。ここは初心者向けダンジョンですから、難しい構造ではないです。なのでユリウス様もそこまで気を張らないでいいと思いますよ?」


 俺はダンジョンをさらに奥まで進んでいく。目的はマッピング――地図スキルにダンジョンのマップを記憶していく作業――していくことで、次にダンジョンを攻略する時に効率よく進めることができるからだ。


 これは余談だが俺は歩いている最中、手ごろの大きさの石を拾ってはアイテムポーチに入れている。


 たしかに重量は増えて重たくなるかもしれないが、この石ころという『投擲アイテム』は色々なところで役に立つ。例えば、宝箱があったとする。きっと宝箱の中にはレアアイテムへの期待が高まる。


 だけど宝箱ではなく宝箱に擬態している『ミミック』のようなモンスターだったら? その一瞬の油断で死んでしまうかもしれない。だから、確認の意味を込めて石ころは優秀なのだ。


「それにしても……初めてモンスターと対峙して、なんの訓練していないのに一撃で倒すのは……分かってはいましたけれど、ユリウス様はとてつもない方ですね」


「別に倒した敵が強くないモンスターだから、何もすごくないだろ」


「いいえ。何のスキルも使わずに倒すのは熟練の冒険者ならまだしも、今日初めてこの世界に来て、そのうえ初めてダンジョンに入って、初めての敵を一撃ですよ。これは魔王討伐だって期待しちゃいますね」


「まぁ、いずれな」


 魔王討伐というゴールがある以上、いつかはクリアをしなければならない。


「あ、良ければその石ころ私が持ちましょうか?」


「すぐに出せないと困るかもしれないから必要ない」


「そうですか……残念です……」


 女神はしょんぼりとした顔をする。そんなやり取りを女神としつつ、いつ何が来てもいいように短剣と盾を構えて警戒しながら歩みを進めた。


 常に気を張る必要はないのかもしれない。だけど、モンスターが奇襲をしてきても、防御とカウンターを意識していれば、迅速に対処ができる。これは俺が『死にゲー』で学んできたことだ。


 俺は枝別れしている道を曲がる。


「行き止まりですか……引き返しましょう」


「ちょっと待て」


俺はこの行き止まりの壁に違和感を覚えた。


「こういう行き止まりはアイテムが落ちてるか、行き止まりに見せかけているって相場が決まってんだよ」


「はぁ……?」


 マキナは俺が何を言っているのか理解できていない。


だけどゲーマーのとしての勘が告げている。ここには何かあると。


俺は集めていた手頃のサイズの石を壁に向かって投げつける。


すると……、


「通り抜けた……?」


「やっぱりな」


 俺は壁に向こう側――石が消えて行った方に侵入する。


 侵入した先は明らかに別空間だった。


「か、隠し通路!? どうしてここに!!」


 そして明らかに大きな大理石の扉。


「まるでボス部屋だな」


「まるでじゃないです……ボス部屋です。しかも隠しダンジョンのボスだなんて……今のユリウス様では叶いません。SSS級のスキルを使ったとしても、今のままで一撃与えられたらラッキーなくらいです。絶対に倒せません」


 それくらいヤバい相手ということか。それはとても、


「逃げましょう。さすがに今の状態では無理です」


 ワクワクしてきちゃうよな??


「無理……?」


 今、無理と言ったよな? つまりいくつもの死にゲーをクリアしてきた俺には絶対に倒せないと思われているという意味だ。


「え……?」


「いいか? ダンジョンのモンスターは必ず倒せるように設定されているんだよ。それを俺が証明してやる」


「いやいやいや! 私は死んでも女神の聖域に戻るだけですけど、ユリウス様は本当に死んでしまうのですよ!?」


「もとより残機は1機だろ?」


マキナの静止を振り切って、俺は大きな大理石の扉を開ける。


『――――――』

 

そこには人型のモンスターが居座っていた。


 黒い天使のような羽根を広げ、虚無を映したような無感情な瞳は侵入者である俺を敵だと認識している。


「あれは……堕天使……? どうやら様子がおかしいようですが……どうして隠しダンジョンなんかに?」


「知らない。とりあえずマキナは離れてろ」


 人型のボスは大抵ヤバい。死にゲーの相場で決まっている。


「これは燃えるしかないよな……!」


 俺は隠しダンジョンのボス――堕天使との戦闘が始まるのであった。


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