社畜、シリーズ動画を撮影する

さぁ、早速やっていこうか。


今現在、俺は魔導人形ゴーレムの遺跡の上層入り口にいる。

夏休みだから3週間近くある。


深層に行くわけにもいかないしやるのなら上層からが最適なのだ。

それに上層ボスを倒した時は急いでいて周りの雑魚は全無視でボスに直行したからな。

あんまり周りのことを見てないんだ。


だから今回のシリーズでこのダンジョンを隅々まで見てまわっていこうということになった。

まぁ流石に上層ボスは映せないけどな。


あれと戦ったらドローンが何台お亡くなりになることか……

考えただけで恐ろしい……


ま、やらないんだから考えないでいいか。

どっちみち上層ボスとはもう戦ったから中層への入り口を見つければもう入れるしな。


と、思ったのだがここで速報です。

なんと、社長が超絶高性能なドローンを用意してくれたのだ。

試しに上層のボス付近にいた、ボスほどじゃないにしろレーザーをぶっ放してくる頭おかしい魔導人形に向けてやってみると余裕で回避しながら俺のことをしっかりと撮影していた。


「え、待ってなにこれ高性能すぎないか?」


「あっはっは、そうだろそうだろ。会社で中層や深層に潜る探究者向けに開発していたものだ。数年前に作ったものを現在のものにアップグレードしてな。性能は大幅アップだ!」


いやはやこれはすごい。

今ので余裕だったら普通にボスに使えるぞ。

あぁ、めっちゃ嬉しい。

あのボスの戦闘を動画にできないのは結構痛かったからな。

これで一同が分は確保できた。


「これを使うのはボス戦とかの時だな。通常の雑魚どもはストに簡単に一掃されるだろうから作業用の動画にすればいい」


「そうか。わかった」


そうして俺はダンジョン攻略を始めた。


「わーお、これはまさに遺跡」


上層はまさにthe遺跡という感じであった。

試しの時はほとんど見てないからわからなかったが所々に人が生活していた跡がある。

本当にここはなんなのだろう。

まぁいいか。

そう言ったものはダンジョンの専門家たちに任せて俺は動画に集中っと。


「お、早速お出ましか」


「ワォォァォァォォーン!!!」


「うーん、犬」


俺の目の前に対峙したのは犬の形とない声をした魔導人形だった。

なぜわかるのかというとまたもやわんこの目に結晶あれがあるからである。


いざ実践!


俺はそのままわんこに突撃。

するとワンコは俺に何か攻撃を仕掛けてくるようなことはなく俺に並走してきた。

やはりわんこといべきかスピードは早く、ボスと比べても明らかに早かった。

出方を伺っている感じかな?


ってマジか!

脳筋じゃない!?

今まで俺がやっていたのは突っ込んで間合に引き入れてからの攻撃だった。

でもこのわんこは俺の間合いに入らないギリギリのところで並走している。

スゲェ、頭いい。


「でも……」


俺はそう言いながら足に少し魔力を込める。

そしてそれを圧縮解放!

それによって俺は軽く後ろに飛ぶ。

ずっと全力で追っかけていたわんこは急には止まれず俺の方に振り返った瞬間に隙が生まれる。


「ここだっ!!」


その隙を逃さず俺は即二重衝撃を放った。

するとわんこは塵となった。


「やっぱり見た目通り防御力はそこまで高くないようだな」


ボスならこの威力は余裕で耐えるだろうしな。

でも、あれだな。

ボスじゃないとはいえさすがはSS級の上層ボス付近のモンスター、普通に強い。

今回のわんこなんてC級とかのダンジョンのモンスター全ツッパしても勝てんだろ。

いや、流石に真相とかのボスは例外だけどね。


ともかく、こんな感じで撮影を進めていこう。

そうして俺は今と同じ方法でひたすらにわんこ型魔導人形ゴーレムをひたすら刈りまくった。


累計わんこ型魔導人形討伐数 78体



一方その頃晴翔とシロは……



「それで? あとどれくらいで完成しそうなんですか?」


シロが晴翔にそう聞くと晴翔は顎に手を当てて考えたのち、答えた。


「そうですねぇ。社長の資金を使ってストさんにバレないように性能面で問題が出ない程度で進めてはいますが……」


「いるけど?」


「完成するのはこの夏休みシリーズが終わる頃でしょうね」


「……やっぱり最後まで隠し通すのは厳しい気もしますよね」


「そうですね。ここ1ヶ月ずっとシリーズ撮影があるからと言ってずっと隠し通すことは厳しい気もしますね」


シロは渋々納得したような顔をした後、話を切り替えるように発言した。


「それで、進捗の方はどうですか?」


「はい、今時点で設計図通りに基礎を建築している段階です。2週間ほどで建物が完成、そして残り1週間にセキュリティ関連の最終調整といった感じですかね」


「なるほど、結構早いですね。まぁ、性能面で劣ってしまうのだけは避けなくてはいけないですし、完成まではどうにか話題を逸らすしかないですね」


「そうですよね。大変そうだけど頑張りますか!」


「はい!」


そうして秘密会議というカフェで行われた名ばかりの情報共有は終わった。



再びスト視点へ



ただひたすらにわんこ魔導人形を狩っていたらすべて倒してしまったらしく途中から出てこなくなった。


ありゃ、わんこなだけあって頭もよく途中からピンチになったら仲間を呼ぶようになったんだけどなぁ。

まぁ、それも全部狩ったけどね。


「そんで見つけた、中層への入り口」


「おぉ、あったか」


後ろからずっと見学していた社長が呑気にそう話しかけてきた。


「いやいや、お前も手伝ってくれよ。途中から作業になってたぞ」


「だってお前の動画なのに俺が口出しできるかよ」


う、確かに。

正論をぶつけるな、俺には効果抜群なんだ。

いやまぁ、明らかに違うものは嫌だけどね?

……改めて思ったけど我ながらわがまますぎないか?

……まぁいいか。

今まで別に何か迷惑だって言われたことないし。

心で思っても行動には移してないからな。


「そんでこれから上層ボスと再戦なんだな、ボス戦は一つの動画でいいか?」


俺が社長にそう聞くと


「ああ、もちろんいいそ。ボス戦は内容が濃いからな。一つの動画でも十分に機能するだろう」


「ここの場所も覚えたし今回は一旦ここまでだな」


「そうだな。もう夕方だしな、解散ってことで」


そうして俺は倒したわんこの魔結晶の4割を社長に渡して残りは全部アプリの収納にぶち込んだ。


俺はそのまま家に向かって帰った。

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