社畜、コラボ配信をする


「さぁてと、これからどうすっかな」


俺は天才……もとい晴翔がカフェから出て行った後そう呟いた。


これからの予定はないし、かと言って配信するドローンとかも持ってきてないから配信できないし。

まぁ、配信しなくてもいっか。

中層の下見ってことで行ってもいいかもしれない。


……いや、でもどうだろう。

昨日久しぶりに俺のチャンネル『スト探』の推移を見たけど全部ダンジョンに初挑戦する時が伸びてるんだよなぁ。

ってことは視聴者はそんな動画を望んでいるってことだし……

やめといた方がいいのか。


って、これじゃまた最初に逆戻りじゃんか。

あぁ、どうすっかな。


俺が再び頭を悩ませているとシロが言い出した。


「これからどうします?」


「うーん、どうしようか。一瞬ダンジョンの下見でも行くかと思ったけど俺のチャンネル的にはそこまで需要なさそうだし」


「確かにそうですね、ストさんはダンジョンに初挑戦するその反応がバズった大きな要因と言っても過言ではないですからね」


だよなぁ。

やっぱそうだよなぁ。

だから家に帰ってドローンを取りに行ってもあまり意味ないし。

今日はずっと家にこもってるか?


俺がそんなことを考えているとシロがとある提案をしてきた。


「だったらコラボしましょうよ! 私のチャンネルで!」


「シロのチャンネル?」


「はい、今までのコラボは私とストさん同時にやったじゃないですか。でもまだ個人チャンネルに出演するのはやってないんですよ。そして見た感じストさんはドローン持ってないようですし私のところかなって」


「なるほど」


あー、確かに言われてみればそうかもしれない。

俺はがやったのって異常個体イレギュラー

の時だけだったもんな。


「だったらやるか?」


「え!? いいんですか!?」


シロは俺が了承すると思っていなかったらしく驚いていた。


「まぁな。俺の予定もないし、かと言って家でゴロゴロするのもなぁーて」


「そうですか、じゃあ早速行きましょう!」


「おう」


そうして俺とシロはそのままSS級ダンジョン『結晶の洞窟』に向かった。


歩くこと数分後。


「あ、ありました」


「だいぶ近いなオイ!」


「晴翔さん……でしたっけ? すごいですね」


マジで有能すぎるだろ晴翔!

いやこれからは晴翔さんと呼ばせてもらおう。


「とりま撮影の準備をするか……って行っても俺にできることはないんだがな」


「あはは、じゃあ準備しちゃいますね」


シロは準備を始め、そのまま俺に話しかけてきた。


「ところでどこら辺まで行きます? 今回のダンジョン」


「そうだな、やっぱりもう上層は飽きたし、それに視聴者も見飽きただろうしな。行くんだったら中層かな? まだ深層は早いだろうし」


「そうですね、上層の反応も悪くなってきましたし、かと言って深層は準備不足、行くんだったら中そうですね」


シロも同じ考えになったのか同意してくれた。

そしてシロの準備も完了し配信が始まった。

その瞬間コメントがものすごいスピードで流れ込んでくる。


〝うぉぉぉぉ! きたぁ!〟

〝こんにちは!〟

〝配信きたゼェ!〟

〝突発配信きちゃあ!!!〟

〝どこ攻略するの?〟


「どうもみなさんこんにちは! シロ探索チャンネルのシロと……」


あぁ、こんな感じで振るのね?

いいね、やってやる!


「おーし、きたぜシロチャンネル! スト探のストだ!!」


よし、これでどうだ?

我ながら結構できたと思うんだが……

俺がそう思いながら混綿との反応を見てみるとそこはとても嬉しい反応があった!


〝コラボキタァー〟

〝サプライズコラボ2回目!〟

〝はよ! はよ!〟

〝来たぜ神回!〟

〝いいぞ、もっとやれ!〟

〝なんだまたこれかよ(最高だぜぇ!)〟

〝おお、これはすごいね!!(英語)〟

〝↑海外ニキこんちゃ〟

〝海外まで来るシロとストの影響力よ〟


よし!

反応は上々!

よかったー、もし失敗さしたらスッゲェ恥ずかしいところだったわ。

危ねぇ……

まぁ、うまく行ったものはもういいや。


「と、いうことで今回はストさんとの私のチャンネルでコラボです!」


「今回は中層まで行こうと思ってるぞ」


〝中層!?〟

〝いいねぇ、最高〟

〝お、ついにステップアップ!〟

〝さぁダンジョン初心者(実力は世界トップクラス)ストの反応はどうかなぁ?〟

〝↑ギャップヤバすぎ〟

〝世界トップの初心者だ〟

〝普通に見えてSS級の中層だからストだけじゃなくてシロもすごいんだよなぁ〟

〝↑それな〟


「うっし、ということでとりま中層まで行くぞ」


「そうですね、行きましょう」


俺とシロは上層のモンスターを丸ごと無視してそのまま中層に直接向かった。

ちなみにそんな中では向かってきたモンスターはご臨終させてもらった。


〝あぁ、上層のモンスターたちが次々と……〟

〝さよなら、君たちのことは忘れないよ〟

〝ついに中層!〟

〝いざ、中層へ!〟

〝どんなモンスターが来るのか〟


「さぁ、一体どんなモンスターが来るのか!」


「私の初なので楽しみです!」


そうして俺とシロは中層へと足を踏み入れた。

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