社畜、戦闘に招集される

「遅い!」


おいおい、流石に遅すぎるぞ。

電話があってからかれこれ30分だ。


いくら爺さんの部屋から遠いって言ったって30分も遅れるのはおかしすぎる。

電話をかけてもでねぇしマジでなんなんだよ。


そう思っていたとき、俺が一番待ち望んだ声が流れた。


「おーい、スト。悪い悪い、急遽予定が入っちゃってさ」


そう、それは爺さんの声だった。

ついに……ついにきたか。


「ざけんなよ爺さん! 30分なんて待たせすぎだろ! 電話をかけても一切出ないしどういうことだよ!」


「うぐぅ、わっ、悪かったって」


ふぅ、言いたいこと言ってスッキリした。

それにあの爺さんの困り顔も見れたし大満足だ。

さてと、それはさておき。


「で? なんで30分も遅れたんだ?」


そう、それが問題なのだ。

まぁ遅れたのは許せないがそれ以上に気になるのはなんで遅れたか、ということだ。


俺がそう聞くと爺さんは答え始めた。


「あぁ、それはギルドについてだ。てかストのことだぞ?」


「え?」


俺のこと?

俺何かしたっけ?

いや別に何か変なことをした覚えはないんだが……?

ん?

ギルド?

ギルドって確か……


「あ、もしかして」


「そう、お前のギルドに入りたいっていう応募が殺到してるんだよ」


爺さんは少しうんざりとした顔でそう答えた。


えっ、マジで……

俺のせいかよ。

うーん、これはちょっと


「うん、申し訳ない」


「いやいや、いいんだ。過去ここまで応募が殺到したことはなかったからな。結構面白かったぞ。しかもまだ設立していない状態でな」


あ、確かに。

俺はまだギルドを作るって言っただけで実際にはまだできたわけではないしな。

それでも応募するってなんだよ、まじで。

まぁいいか。

俺の作るギルドに入りたいって言っている人がたくさんいるってこと自体は嬉しいしな。


「で? それでどんな感ーー」


グゥゥゥゥゥーー


「あ……」


やばい、そういやそうだ。

ずっと忙しかったから忘れていたけど昨日夕飯食べてないし今日も朝飯食べてないしな。

しかも今昼だし。


「その前に飯だな」


「そうだな、俺はまだ飯食ってないし」


そうして俺と爺さんはそのまま研究部の食堂に向かった。


「さてと、これで話ができるな」


俺と爺さんは食堂で昼食をもらってから席につき、話を始めた。


「それで話しなんだが、この前話した専属部隊のことがあっただろ?」


「ああ、ダンジョン再現部屋の代わりに引き受けたんだったな」


「そう、それなんだが早速出番が来たぞ」


え?

は?

いやいやいや、さすがに早すぎないか!?

俺がその話を引き受けてからまだ3日も経ってないぞ!?


「なんでそんな急に……?」


「ああ、それなんだがな。突如としてダンジョン教会本部に電話がかかってきてな。脅迫されたんだ、金を払えって」


「金を払う、ねぇ」


いかにも犯罪らしいことだな。

あれ?

でもおかしくないか?

こういうことなんだけどたったそれだけだったらダンジョン教会だけで対処できるんじゃないか?

俺たち民間人のことを使わずに……


「本来なら俺たちダンジョン教会の人間でいけるはずなんだがな、あいつら人質をとりやがったんだ」


「は!? 人質だと!?」


「そうだ、しかももし金を用意しなければ本部の場所を世界中にばらすと言いやがったんだ。本当かどうかはわからないがマジかもしれない。まぁ、おそらく政府としてはここがバレるのを避けたいんだろうな」


人質よりもここって……

マジで許せないが実際にここが世間に明るみになったらやばいってことは俺にもわかる。

ここは一般世間には公表していないところだ。


新聞やテレビなどのメディアもあらゆる手段でここがバレることを防いでいる。

そこまでする理由は簡単だ。


ここが政府直轄の施設だからだ。

上に政府がいるということはここに忍び込んで情報を盗み取ることができれば国のしたいことが一気に明るみになる。


そんなことになれば日本が大崩壊するのは目に見えている。

さらに言えばここ、日本はダンジョンが数多くあるダンジョン大国だ。

そんなダンジョンの研究、管理を行っているここがバレればダンジョンを用いたテロや他国の工作活動なんかも抑制できなくなるだろう。


要するに、


「ダンジョン教会や政府が表立って活動できないってことか」


俺がそういうと爺さんはひどく驚いたように言った。


「……よくわかったな。そこまで」


「まぁ、考えることは得意なんで」


新技とかそう言ったアイデアは除くが。


「話が早くて助かる。それで、言ってくれるか?」


うーん、別に他に予定は入ってないからいいんだけど。

あっ、でもおっちゃんに頼んだ武器がもうすぐできるな。

今日を入れれば後4日か?

あれ?

思ったよりたってない。

まぁここ最近は色々あったからな。


「予定も入ってないし大丈夫だと思うが……因みに聞くが他の奴らはどうなんだ?」


「他のランキング者には何か予定があるもの以外にももうすでに頼んである。その組織はいくつかあってな、そこに2人ずつ言ってもらうんだ」


「2人ずつ? ってことはもう1人と一緒に行くのか?」


「もちろんそうだ。お前と一緒に行ってもらうのはソロ探究者ランキング第一位、〝レリック〟だ」


は?

第一位だと?

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