社畜、スキルを暴露する
「さてと、まずは俺のスキルについて説明をしなければならないな」
それはそうだ。
一緒にスキルの練習をするにあたって視聴者に説明しなければ何をしているのかわからないからな。
しかし俺がそう言った瞬間、コメントがさらに加速していく。
〝えっ!?〟
〝スキルをばらすの!?〟
〝おおぉ!〟
〝スト探のスキル……!〟
〝史上初じゃないか!?〟
〝↑そうなの?〟
〝↑あぁ、スキルをばらしたりする配信者は初めてだと思う〟
え?
スキルをバラした人っていないの?
そう思って慌ててスマホで色々と検索してみたが……
「嘘……だろ? マジで1人もいない……」
YouTubeでもつぶやいたーでも自身のスキルを公開している人は誰もいなかった。
いや待てよ?
よく考えてみたら当たり前じゃないか。
スキルっていうのはダンジョンでの自分の切り札だしな。
この情報社会でネットに上げたスキルを使うところを見られるとすぐに特定されてしまいそうだ。
懸命に考えたら普通に怖い。
でも……
「ま、いいや」
俺はスキルをバラすことにした。
結局俺はスキルを使うところをもうシロとの異常個体の時にバラしてるわけだし何か困ることもないだろう。
それにこれからは転移があるから家に帰る時に邪魔されるってこともないだろうしない。
うん、大丈夫だ。
多分。
「じゃ、早速説明していくぞ」
〝え? マジでやるの?〟
〝やめとけって!〟
〝身バレするぞ〟
〝いいぞもっとやれ!〟
〝↑それはダメだろ〟
〝やめろ!〟
「いやぁ、身バレするって言ってもさ、こちとらシロとの異常個体討伐でもうすでにスキルバレとるんですわ」
〝あっw〟
〝確かに〟
〝今更感〟
〝wwwww〟
〝納得〟
「で、もういいかなって開き直ってやろうと思った」
〝開き直るなw〟
〝それ一番ダメなやつだ〟
シロ〝えっ、じゃあ私もバレてるじゃないですか……〟
〝うぇぇぇ!〟
〝大丈夫だったの!?〟
〝シロちゃんキタァ!〟
え、シロ?
うわっ! マジでいるじゃん!
起きていて大丈夫なのか?
まぁ、大丈夫か。
もともとそこまで大きな怪我はなかったしな。
倒れたのは疲労のせいだってあのチャラ男も言ってたし。
てか俺の視聴者奪われてるし!
「あのー? シロさん? 俺の視聴者を奪わないでくれる……?」
シロ〝あっ、す、すみません!〟
俺がそういうとそんな返事が返ってきた。
うん、なんだろうこれ。
ちょっと精神にくる。
だってあれでしょ?
これで謝るってことは自分が視聴者を奪ってるって自覚があるってことでしょ?
あぁー!
年下に負けるのってめっちゃ悔しい!
……いや、これからだ。
俺もまだ配信活動を始めたばかり。
これから俺がシロと同じくらい影響力を持つ配信者になればいいんだ。
そしてシロの視聴者を奪ってやるのさ。
大人気ないかもしれないがそれが俺のやり方だ、ふへへへへ。
……!?
おっと、欲望に飲まれそうになった。
ステイだステイ。
落ち着け俺。
俺が今やるべきことはそんなことではなくスキルの練習だ。
配信を続けよう。
「それで改めて俺のスキルを説明をするんだが、俺のスキルは魔力操作(極)というものだ」
〝ついに明かされる真実〟
〝これがストのスキルか!〟
〝なんか普通じゃね?〟
〝まぁ、スキルなしで死角からの異常個体の攻撃を避けられるくらいの化け物だから〟
〝↑あ、納得〟
〝確かに〟
〝なにか特別なことはしてないもんな〟
〝いやいや、魔力集めるっていうことしてたから!〟
〝速報! スト探のスキルは普通に讃えて普通じゃなかった!〟
〝まぁ、なんか極ってついてるし〟
〝ストが普通じゃないってことはわかりきってるもんな〟
おお、やっぱり驚いてる!
……ん?
「おい、この普通じゃないってどういうことだ!」
書き込まれたコメントに思わず反論してしまったがその反応は厳しかった。
〝いやだって普通ダンジョン初めて1日目の時にフィールドボスを倒せるわけないだろ〟
〝だよな!〟
〝普通じゃないもんな〟
〝ま、だから見てるんだけど〟
〝↑それな〟
「ぐぅぅ」
クッソ、何も言い返せない。
やめてくれ!
その正論は俺に効果抜群なんだ。
ま、それはいいか。
どうやら視聴者はそんな俺の普通じゃないところを見にきているようだしな。
俺の特技で来てもらえてると思えばマシだろう。
うん、そうだよ、多分。
ってそんなことよりも、だ。
「まぁ、それは一回置いといて、俺が考えたことは魔力を固めてバリアみたいにすることだ」
これはおれがこのダンジョン教会に向かっていう時に思いついたことだ。
魔力を固めることで物体に干渉できるようになる。
だったらそれまで一気に固めてバリア見たいしすればいいじゃないか、と。
これだったら防御だけでなく攻撃にも使える。
うん、やっぱり俺天才かもしれん。
さてと、じゃあやるか
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