社畜、儲ける
「ふぁああ……あぁ、なんて清々しい朝なのだろうか」
あれ? なんかこれ昨日も言った気が……
うん、言ったな。
なんだこれ、昨日の再現かなんかか?
いや、違うな。
「俺は今日から会社に行かなくてもいいんだ〜!」
そう、会社に行かなくてもいい……全く違うではないか。
さてと、今日はダンジョンに潜るんだったな。
それ以外の予定は特にないしな……
「よし、武器を買おう!」
今更だがダンジョン探索をしてモンスターと戦う時に武器を使わないで素手で戦ってたって意味わからないな。
そういえば、俺ってなんのスキルを手に入れたんだろう……
ダンジョンに潜った時、探究者はダンジョンから各々に最適なスキルが与えられる。
さらに、ダンジョンでモンスターを倒すとレベルが上がり、身体能力などの基礎能力が上がるらしい。
「アプリを開いてっと」
なんと驚き! その情報はアプリで見ることができるらしい。
万能すぎるだろ、このアプリ。
そう思いながらも俺はアプリから自身の情報を見た。
______
探究者名 スト
レベル 93
カテゴリ 探究者 ソロ
スキル 魔力操作(極)
称号 ソロ探究者ランキング8位
反射神経の化け物
______
えーと、うん……なんでいきなりレベルが93なの?
あっ、あれか!
あの狼系のモンスター、確かレベル帯が70いくつだったし……
あれを十数体も倒したからか。
それで? 肝心のスキルは……
魔力操作(極)……うーん、すごいのかすごくないのかわからない。
ちょっとネットで見てみるか。
えー? どれどれ……
大型の人が身体強化、バリアとかそう言った派手なもの……
えっ、俺めっちゃ地味じゃん。
うーん、一旦これは忘れよう。
そういえばレベルはどうなんだろう……?
これも見てみるか
レベル10くらいで一人前
レベル30くらいで中堅ベテラン
レベル50くらいでプロ
レベル70くらいで街一つぶっ壊せる
レベル90くらいで国一つぶっ壊せる
レベル100以上、化け物以上の何か
……あれ? 俺ってもしかしてやばいんじゃ……
え? てことは俺ってもう国一個ぶっ壊せるレベルってこと?
いやいや、流石にね……ありえないよね。
だってあれだぜ? 俺まだ初めて1週間も経ってないんだぞ?
これは冗談だ、うん、そうなんだ。
そう思うことにしよう。
「よし、じゃあ武器を買いに行くか」
そう思って俺は家の外に出た。
今更だけど武器ってどこに売ってるんだろ……
ここはやっぱりスマホの出番だな。
あー、なるほど。
ダンジョンのところに店が集まってるのか……
だったらそのまま行って武器を買ってから配信しても大丈夫そうだ。
ドローンはアプリのところに入れてるし、水とかは自販機で買えばいいだろう。
そう思いながらも俺は『結晶の洞窟』に向かった。
ん? なんで他のところに行かないのかって?
そこしか知らないからだよ!
わざわざ別のところに行かなくてもちゃんと出来てるし大丈夫だ……うん。
「おっ、ついたな」
家から数十分後、ダンジョンについた。
さて、武器を売ってる店を探しに行こうか……
とっ、その前にそのための金を用意しなきゃな。
確か魔結晶をダンジョンの横にある建物……俺がカードを発行した建物……で売ることができるらしい。
「あのー、すみません。魔結晶を売りたいんですけど……」
「はい、分かりました。こちらに魔結晶をお出しください」
カウンターにいた受付の人にそう尋ねるとやり方まで教えてくれた。
あぁ、ありがてぇ。
俺全くわからないからな。
「はい、これです」
俺はアプリの空間から一昨日倒したモンスターの魔結晶を取り出す。
「はい、ありがとうございますってえぇ! こんなに大きな魔結晶初めて見ました!」
受付の人は俺が出した魔結晶を見て驚いていた。
まぁ、レベル70くらいだからな。
そりゃ大きいだろうな。
「それで、これはどれくらいになるでしょうか」
「あっ、はい。こちらはですね……!?」
俺が値段を聞くと受付の人は手元でいじっていたタブレットをみて固まった。
「あ、あの? いくらでしょうか」
「!? すみません。こちらは500万円で買い取らせていただきます」
「ごっ!」
予想以上に高かった。
それなりにするだろうとは思っていたがせいぜい数十万位だと思っていた。
いやー、びっくりした。
だってあれだよ? 桁が一つ違うんだよ?
やばいって。
ん? ちょっと待て……
俺いま魔結晶を一つ出してこの値段だろ……?
俺まだ10個ぐらいあるんだけど……
「あの〜?」
「はい、なんでしょうか。あっ! 値段をあげてって言われてもダメですよ! 規定で決まってるんで!」
いや、そんなことじゃないんだよ。
値段は十分だから。
「さっき渡した魔結晶あるじゃないですか……」
「はい、すごいですね。過去一の大きさでしたよ!」
「言い出しにくいんですけど……俺あの魔結晶あと十個くらい持ってます」
「……? 申し訳ありません。もう一度伺ってもよろしいでしょうか?」
受付の人は手を顔に当てながら俺に再び尋ねてきた。
うん、そうなるだろうね。
俺もそっち側だったらそうなると思う。
「……俺あの魔結晶あと十個くらい持ってます」
「じゅっ! って冗談はやめてくださいよ!」
どうやら冗談と思われたみたいだ。
違うんだよ、冗談じゃないんだよ。
「だったらこれで信じますか?」
俺はそう言ってアプリから魔結晶を全て取り出した。
取り出して見せた後受付の人を見ていたら完璧にフリーズしていた。
……なんかすみません。
「! し、失礼しました。それでは新たなものを出して5150万円を支払わせていただきます。ただ、いきなりこれほどの大金を渡すことは不可能なので、一度1000万円をお渡ししたいと思います。アプリの口座に入れるということでよろしいでしょうか」
どうやら正気を取り戻したようで受付の人は説明を始めた。
1000万か……信じられないな。
でも、これが現実なんだ。
それに、これだけあれば武器も買えるだろうしな。
「はい。それで大丈夫です」
「それではこちらのQRコードを取り込んでいただけますか?」
俺はそう言われて差し出されたタブレットになっているコードをアプリで読み込んだ。
すると
チャリーン
そんな音と共に
『1000万円が振り込まれました』
という通知がアプリからきた。
「あ、ありがとうございました」
「またのお越しをお待ちしております」
互いにそう挨拶をして俺は建物から出ていった。
そうして俺は外でアプリを開き、通帳機能を開く。
そこにはきっちりと1000万円が振り込まれていた。
「これが、ダンジョンで稼いだ金……」
はっ! 会社にいた時よりも何倍も稼げてるな。
しかも短時間で……
「これが……俺の天職だったんだな。よし! 早速武器を買いに行くか!」
そう思って俺は歩き始めた。
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