社畜、見つかる
「おお〜! ここがダンジョンか!」
そこには一面草原が広がっていた。
まじかよ……ここってダンジョンの中だよな……
外から見ても絶対にこんなに広くはないぞ!?
まあ、ダンジョンにそんなことを言っても無駄か……
「さてと、早速モンスターを探すか! 早く出てこいよ! 俺のストレス発散のために!」
あれ? おかしいな……
今ここで数十分くらい歩いてるのに一体もモンスターにら遭遇しない。
ゴブリンとかがうじゃうじゃいるって前に聞いたことがあるんだけどな……
「おっ、あれはなんだ? もしかしてモンスターか!?」
遠くに赤いものが見えたので俺は咄嗟にそう呟いた。
だけどなんだろうな、スッゲェ嬉しい。
ストレス発散ができるって思うと気分が高まる。
「グルゥゥゥアァァァァァッ!!」
「うおっ! すげー!」
近づいてみると赤色の狼みたいなモンスターがいた。
本来なら恐怖して何もできないのだろうが俺は不思議にそうは感じなかった。
〝怖い〟というよりは〝奮い立つ〟と言った方が正しいだろう。
ストレスを発散できる、その事実が俺を奮い立てているのだ。
「いいねぇ、やってやろうじゃねぇか!」
その言葉と共に、俺とそのモンスターは走り出した。
「グラァァァァァァッ!」
「さてと、まずはあいつがどんなやつか確認しないとな」
俺は走りながらスマホを開き、とあるアプリを起動する。
アプリからカメラを開き、モンスターにかざすとそのモンスターの情報が出てきた。
______
種族 ヘルハウンド
レベル 72
カテゴリ フィールドボス 集団 狼系
スキル 集団強化
討伐推奨 レベル70台、複数人
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「うん、全くわからん」
今日初めてダンジョンに潜り、ダンジョンのことを全く知らない俺にはわからん。
ま、いいや。
どうせ何も見てわからんのならほっときゃいいや。
「ウルガァァァァァァァ」
そう思っているとモンスターが俺に向かって突っ込んできた。
なんだろうか、俺に向かって攻撃しているようなモーションに既視感を覚える。
……ああ、あれか。
上司の仕草だ。
なんでお前はこんなこともできないんだ!
そんなことを言いながら俺に向かって殴りかかってくる上司が目に浮かぶ。
怖い? そんなことはない、もっと、さっきまでよりももっと!
「発散できそうだぜ!」
「グルガァッ!」
思いっきりモンスターをぶん殴るとモンスターは一撃で消えていった。
「あれ? あいつどこいったんだ?」
「グルゥゥゥゥゥゥ」
そんなことを言っていると別の方向にさっきのやつが現れた。
「あっ、いた! まてよ! 俺のサンドバッグ!」
そうして俺は1匹、また1匹とモンスターを倒していくのだった。
「ねぇ、みんな。あの人何やってるの……?」
遠くからモンスターをフルボッコにしているサラリーマンを眺めている綺麗な青髪を腰まで下ろしているいかにも美少女、といった少女がいた。
そして少女は突如としてそう呟く。
それに応えるように、彼女の近くに浮かんでいる撮影ドローンがもの凄いで震えている
コメント
〝おい! あれってSS
〝あいつを一撃!? あっ、もう1匹もご臨終……〟
〝誰だあいつは! あんなやつランキングに載ってたか?〟
〝俺、ランキング網羅してるけど知らないぞあんなの!〟
〝地味にすごいこと言ってるし〟
〝合成映像?〟
〝バカ! シロちゃんがそんなことするわけないだろ!〟
〝そうだ!〟
〝なんか論点入れ替わってない?〟
「撮影しようと思ったけど、すごい人見つけちゃだかも……」
そう、少女は呟いた。
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