第43話 国外追放した国自体が消えた
ミューラー将軍に続いて王宮の迎賓館に入った俺達の前には、見たことのある面々がいた。
青ざめて震えている国王夫妻に、怒りか絶望か分からないがブルブルと戦慄いている王太子夫妻、後は……貴族連中が全員残っているようだ。
そうだろうな、貴族が王族を見捨てて逃げると、逃げた後がとっても怖いからな。
爵位と領地の没収は当然だけれど、王族を怒らせれば族滅だって起こりうる。
まだ連中は追放した俺達に気付いていない。あえて兜を深々とかぶっているからだ。
「偉大にして尊厳者たるロースタレイ帝国皇帝陛下の御名において!」
ミューラー将軍が仰々しく国王夫妻に言う。
「潔く敗北を認め、ロースタレイ帝国に忠誠を誓うか。王国の名を捨て『属州アザレナ』となり、賠償金として1億ベルラを毎年貢納するならば王家の存続を例外的に認めるとの仰せである」
うわあ……屈辱的にも程がある内容だな。
なので、聞いた途端に誰もが目を見開く。
「そんなふざけた内容が飲めるか!」
王太子が真っ先に叫んだ。
「200年来のノルベ大河の国境を侵犯し我らがロースタレイ帝国の臣民を殺傷せしめた者がそれを言うか?」
「ここで貴様らを倒せば何度でも勝機はあるのだ!」
……コイツは駄目だ。
もう……愛想さえも尽き果てた。
王都の兵士さえ逃げ出すような国なのに、まだ何も現実が見えていないし、見ようともしていない。
ここでスッパリと俺達が終わらせなければ、コイツら以外の全員が苦しみ続けるだけだ。
「おい」
ミューラー将軍が俺を見る。俺は頷いて、兜を外した。
「き、貴様はっ!」
現王太子妃、じゃなくて『尻好きド変態』が俺を見て息をのんだ。
『783』……ああもう、これ以上は見たくも知りたくもない!
「ここまで帝国を侮辱したのなら、俺もかえってやりやすい。
――ミューラー将軍、彼らは最後の陛下のお慈悲をも蔑ろにしました。陛下はこの場合のため、何と仰せでしたか?」
「……『男女の区別なく、王族は罪人として鉱山で勤めさせよ。なべて貴族は平民に落とし、港湾施設にて荷運びをさせよ。アザレナ王国は地図の上より抹消する。我がロースタレイ帝国の臣民を戦火に再び巻き込んだ罪はかほどに重大である』」
「ってことだから」ガブリエルも兜を脱いで小脇に抱えた。「私達が戻ってきたここはもはや『アザレナ王国』じゃない。せっかく私達を国外に追放したのにね、国を亡くしてご苦労様!だよ」
「なっ……貴様、貴様らああああああああああああああああっ!」
王太子が口から泡を飛ばして『威圧』を発動させる直前。
当然ながら、時間停止を俺は起動させる。
「えーと。洗脳に淫紋支配に感度操作で……そうだな、感度は3000倍くらいにしておこう。後はエロスライムで素っ裸にして、常識改変と……人格排泄……分からせにオホ声と尊厳破壊に……あ、これもあったか」
俺は最後に『メス墜ち』もおまけした。
陛下は王家の血筋を絶やすつもりのようなので、万が一にも子供を作れないようにしておく。
「鉱山や港での荷運びで償わせるって言うなら、ドバド奇岩地帯のミスリル銀鉱山やエルマーストの港で働かせたいな。過酷な場所だし労働条件もアレだから魔族の人も当然だけど働きたがっていなくて、マジで困っていたんだよな……。
よし、後でガブリエルと一緒に陛下に掛け合ってみよう」
時間停止、解除。
はい、賢明な皆様です。
既に一切をご存じかとは思いますが、王太子もこうなりました。
「――おっ♡ほお゛ぉ゛♡♡!!!おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお♡♡♡!??!?!?なん゛に゛ゃ゛のごれぇええええええええええええええええええええええええええぇっ♡☆♡☆!!!!!???あ゛だま゛がおがじぐなるうううううううううううううううううううう!!!????!!!アヘェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!い゛ま゛ま゛でお゛どごでしゅみましぇんでしたあぁ♡♡♡♡♡♡♡♡う゛お゛ほぁ゛あ゛あああああああああああああああああああああああああああああああああ――――――!!!!☆☆」
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