第23話 好感度は犠牲になったのだ……
……。
人格を排泄した元・兄は俺達に完璧に従順になった。
俺は元・兄に人格をひり出させたことよりも、ガブリエルと皇女殿下とネイ将軍のトリプル冷凍ビームが辛かった。
「彼のスキルはもしかすると、そうなのか」
「はい、全部……性的にいかがわしいのです」
「つまりは変態だ」
ユーディンが、今や俺を同情の眼差しで見つめてきて泣きそうになる。
「そんな目で俺を見るな!俺が追放されたのはスキルが全部どすけべ系だった所為で邪淫の徒だと言いがかりを付けられたからなんだよ!!!」
「俺の……『油』がまともに思える悲しい話だな」
「『油』は完全にまともだろ!?どこの何がまともじゃねえんだよ!?」
「いや、その……騎士として使えないスキルだから」
……は?
はあ?
何を言っているんだ?
「お前ふざけてんのか?敵の足場にぶちまけて転ばせるも良し、そのまま火を付けて一網打尽にするも良しの超万能スキルだろうが!」
「あっ」
「『あっ』て何だ!?
『あっ』て!?
俺は完全に逆ギレをしていた。頭では理解していても止められなかった。
「『油』の種類によっては海上でも使えるだろ!?火を放てば敵船だって焼けるだろ!?
俺の『エロスライム使役』なんか使うだけで女性からの好感度がガタ落ちして都度冷凍ビームを浴びるのに贅沢言ってんじゃねえぞ!!!!!!」
ここまで自暴自棄になっていた癖に、俺は今すぐに可愛いエルマーを抱きしめて声を上げて泣きじゃくりたい気分だった。
……もしも衝動に負けてそうしたら、ガブリエルが即、騎士を呼んで俺を牢獄へ連行させるだろうけれどさ!
「お、おう……」
その間にネイ将軍が元・兄から必要な情報を引き出していて、皇女殿下と話し合っている。
「アザレナ王国が本格的に関与してきましたか」
「東北から背後を突かれる可能性がある。先に防衛拠点を固めねばなるまい」
「イリアディアの里を優先的に……」
「うむ。火薬はこれからの戦いに不可欠だからな」
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