第20話 妬ましいのは俺の方だ
……クロディアスの処遇が決まった。
スキルがスキルなだけに危険すぎて、処刑するそうだ。
俺は『よくやってくれた!』と議会派の面々から激賞されたが、当然それを良く思わないヤツもいる訳で……。
「貴様、多少の優れたスキルがあるからと良い気になるなよ!」
特に突っかかってくるのはネイ将軍の次男坊で俺と同い年のユーディン・ネイだった。
「戦果も武術の腕前も無い癖に……!」
……クソが。俺は歯がゆく思ってしまう。
これは正当とも呼べる嫉妬心で、ユーディンなら向上心の糧にするだろう。
俺と同い年なのに既に実力で議会派の1部隊を率いている彼が、何で俺相手に嫉妬なんかするんだ。
嫉妬しているのは、俺の方だ!
「羨ましいよ」
つい、そう言っていた。
「貴方には家族がいて、貴方の実力を正当に評価してくれる環境にいて、実力に相応しい立場にいて、なのにどうしてそれを何一つ持たない俺に嫉妬するんですか」
『お前はもはや息子でもない。親だと金輪際思うな!』
『恥知らずを育てた損を賠償して頂戴!今すぐに!』
『お前なんか自殺すれば良かったのに。俺の弟だとか屈辱でしかないよ。何ならうんと苦しませてから殺してやろうか?』
『貴方が兄だと私達が幸せになれません。私達の前から消えて下さい。永遠に』
「なっ……」
「俺はスキルが異常だ変態だって罵られて家族からも国からも捨てられた。俺に無い何もかもを持っているのは貴方だ。俺は貴方が本当に羨ましいよ。妬ましいとさえ思う。俺はここで功績を挙げなきゃただのゴミなのに」
「……」
ユーディンは黙った。
「いっそゴミでも良いかな。イリアディアの里に帰って毎日のんびり過ごせるなら」
「あら、ゴミは駄目ですよ、毎日アルセーヌにもしっかり働いて貰います」
ガブリエルがやって来た。
「そっか。何があったの?」
「クロディアス……いえ貴族派の支配していた帝国西方への補給線が確立しました。大規模な攻勢作戦が始まるようです。ですが同時に東方の皇族派も仕掛けてくるでしょう」
「皇太子と手を組んでいるアザレナ王国も出張ってくるかな?」
「間違いなく」
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