六歳年上のお姉ちゃん系ロリが衝撃発言した

 琴葉さんとの買い物を終えた。


 本来の目的は終わったので、後は琴葉さんと先ほど約束したカフェに寄ってふらふらして帰宅だ。


「ねえ葉月くん、カップルドリンクあるんだけど」


 よくアニメとかで見かける、絡み合ったストローで一つのドリンクを飲むやつだ。普通カフェでやるものじゃないと思う。


「クリスマスだったらあり得るかもしれないね」

「お得らしいんだけど」

「カップルを固定客に取り込めると儲かるんだろうね」


 琴葉さんがカップルドリンクについて触れている。


 どういう意図なんだろうか。


「……頼まない?」

「カップルドリンクはカップルしか頼めないドリンクだと思う」

「……」


 琴葉さんはロリらしく頬を膨らませた。


 拗ねさせてしまったかもしれない。まずいことをしたかな。


「そもそも、周りから見たら兄妹にしか見えないと思う」


 当然、僕が兄だ。


 その意図で言ったが、どうやら琴葉さんには通じていなかったらしい。


「そっかそっか、私のことお姉ちゃんだと思ってるんだね」


 実際のところお姉ちゃんだとは思っているが、周りから見た場合はその限りではない。明らかに琴葉さんの方が僕よりも若く見えるだろう。


「ねえ、葉月くん」

「どうしたの、琴葉さん」


 注文も決めないうちに琴葉さんは改まって言った。


 あの琴葉さんが真剣に言うことならば、聞き流すわけにはいかないと僕も聞く姿勢を整える。


「そろそろ付き合わない?」

「……」


 ……。


 …………。


 2、3、5、7……。


 11、13、17、19……。


 23、29、31、37、41……。


 43、47、53、59、61、67……。


「どういうこと?」


 やっと世界に音が戻ってきた。


 そもそも『そろそろ付き合わない?』という言葉は本来友人もしくはその他の関係性として長い時間を仲良く一緒に過ごした男女の間で使われる言葉であって決して一緒に暮らし始めて一週間ほどしか経っていない従姉弟の間で使われる言葉ではない。いや、そもそも一緒に暮らしている時点でそれなりに仲が良いと言えるのかもしれないが一般的には従姉弟にこの言葉が使われることはほとんどないと考えてもいいだろう。


 音が戻りすぎてた。


「私、葉月くんのことが好きなんだよね」

「どうして?」


 僕を好きになる要素なんてなかったと思う。


「もしかしたら、葉月くん以外のことが嫌いだから、消去法的に葉月くんのことが好きになったのかもしれないけど」

「と、とりあえず注文しよう」

「じゃあカップルドリンクで」

「僕もそれで」


 あれ、これ外堀から埋められてないか? 少なくともここの店員さんには僕と琴葉さんがカップルだと認識されることになるんだけど……。

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