六歳年上のお姉ちゃん系ロリにロリコンだと思われた
「完全にクリスマスムードじゃん……」
「そういえば今月クリスマスだ」
今月から冬休みと冬期講習が始まるということで完全に忘れていたけれど、冬と言えばクリスマスだ。
ショッピングモールの中には小さなクリスマスツリーとかサンタクロースを模した小さな人形とか、そんな飾りつけが並んでいる。
「カップルが多いのも納得だね、葉月くん」
「そうだね……。今から帰りたくなってきた」
「せっかく来たんだし一緒に買い物しようよ」
琴葉さんにそう誘われて、悪い気はしない。
僕は仕方なく琴葉さんの後ろをついて歩く。
「あ、見て葉月くん、カフェ。後で寄らない?」
「わかった、後で寄ろう」
後でカフェに寄ること自体は構わないのだが、琴葉さんのロリ体系かつロリボイスでカフェに行こうなんて言われると違和感が半端じゃない。
そんな僕の気持ちも露知らず、こちらに来てから日が浅い琴葉さんはショッピングモール中を見て回る。
「あ、この系列のスーパーめっちゃ安いんだよね! 買い出しのときはここにしよう!」
「うん、そうだね、うん……」
ロリの外見にロリの声で主婦みたいな話をされても反応に困る。
「なんか葉月くん冷たくない?」
「いや、そういうつもりはないけど。気に障ったらごめん」
「まあ、平気だけど……」
琴葉さんは少し不満げに言った。
口では平気と言いつつ心の中では違うことを考えているというから、女性というものは厄介だ、と主語が大きすぎる主張を組み立てる。
「あ、見て見て、この踏み台良い感じじゃない? 折り畳みだって」
「僕としても踏み台を抱えて家に帰るロリの構図を見たくはなかったから助かるよ」
言ってしまってから、琴葉さんにロリと言ってしまったことに気づく。
「ふーん、葉月くんは私のことロリだと思ってたんだ」
「悪い意味じゃない! 僕はその、ロリが嫌いってわけじゃなくて、その、ロリが好きだ!」
この言い方だと誤解を招く。
慌てて取り消そうとした僕は虚しく遮られた。
「へえ、葉月くんロリコンなんだ」
「そういうわけではなく! ただその、ロリというのも個性として受容されるべきというか……!」
まずい、これだとロリコンの主張になってしまう……!
「やっぱりロリコンなんじゃん」
琴葉さんはふっと笑って言った。
「わかってるよ、悪い意味じゃないんだよね」
「その、人を見た目だけで判断するのは良くないっていう……」
僕はなにを言っているんだ。
「それで、私はどうなの?」
「そりゃもちろん、琴葉さんのことは好きだよ」
「ふーん」
琴葉さんは嬉しそうににやにやして笑った。
「いや、そういう意味じゃなくて! いつも助かってるし!」
「うんうん」
琴葉さんの笑みが消えることはなかった。
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