六歳年上のお姉ちゃん系ロリが愚痴る

 六歳年上のお姉ちゃん系ロリに買い物に誘われた。


 誘われたというより、そういう流れになったという表現の方が正しいような気もするが、誘ったのは琴葉さんであることは変わらない。


「ねえ葉月くん、なんかカップル多くない?」

「そうかな? いつもこんな感じだと思うけど」

「そっか、私は葉月くんほど外出してないから、ここの感覚に慣れてないのか」


 琴葉さんは背伸びして周りを見渡して、冷静に分析した。


 ロリボイスで冷静に現状を分析されても、頭が混乱するだけなんだけど……。


「葉さんの方はカップルが少ないとかあるの?」

「あっちは田舎だから、若い人は全然いない。カップルなんて以ての外だよ」


 少し怒りを感じる声だった。


 全く気付いていなかったが、もしかしたら琴葉さんは自分の地元があまり好きではないのかもしれない。


 でもそれを直接訊くのはさすがに躊躇われて、遠回しな訊き方をしてしまう。


「琴葉さん。この場所は好き?」


 こんな訊き方をして、『嫌いだ』なんて普通答えられるわけない。


「うん、好きだよ」


 僕の予想通り、琴葉さんの答えは好きだというものだった。


 しかし、僕の予想を上回った言葉を琴葉さんは言った。


「私、実は地元のことが嫌いなの」


 話しづらいだろうと予期して控えた質問に、図らずも琴葉さんが答えるという形になった。


「どうして嫌いなの? 僕は、あっちはかなり良いところだと思うんだけど」


 のどかで自然豊かで、言い換えれば琴葉さんの言った通り田舎ともいえるけど、ゆっくりと生活出来そうで、僕からしてみれば憧れの的だ。


 今の環境から変わるのは嫌だから葉さんに引き取られるのは拒否したが、生まれたときからあの場所に住んでいたら良かったと思うことはままある。


「すごく田舎なの。確かに、都会に住んでいる人からしたら良い場所だと思えるかもしれないけど」

「田舎にも田舎なりの苦労があるってこと?」

「うん、そういうことになるね……。本当にあそこ不便。スーパーもないんだよ?」


 僕は琴葉さんと二人で暮らしている関係で家事をする機会は一般的な男子中学生よりも多い。


 そんな僕視点、スーパーがなければ生活が成り立たないと思う場面は少なくない。


「なるほど、すごく不便だ。確かに嫌いになってもおかしくないかもしれない」

「他にも問題はあるんだけど……両親もうざいし」


 あまりにもロリな見た目から忘れていたが、琴葉さんは大学生だ。親からの過度な干渉を嫌うこともあるだろう。


「はあもう、ずっとここに住みたい」


 その心労はロリとは思えないほどに汲み取れた。いやまあ、精神年齢は普通に大学生なんだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る