鴛鴦之契(えんおうのちぎり)〜 飛楊と桂花〜

猫野 尻尾

第1話:序章。

鴛鴦之契(えんおうのちぎり)・・・鴛鴦とははオシドリを表す。

日本でいうところのオシドリ夫婦のこと。

つまり、オシドリのように仲睦まじい様子を表現する言葉だそうだ。



その昔、天空に浮かぶ「紅来環こうらいかん」という小国があった。

そしてその天空の城を支配していたのが「東照一族とうしょういちぞく


東照一族とうしょういちぞく」の国王は「泰明 たいめい」と言って

そして泰明の後を継ぐのが、 うら若き王子「李王喜りおうき 」俗名を

「「飛揚ひよう 」と言った。


この物語の主人公である。


そして「東照一族とうしょういちぞく」に使える種族に妖術師「郎翔君ろうしょうくん」率いる妖精の一族がいた。

妖精と言っても姿形は人間となんら変わらない。


東照一族とうしょういちぞく」は基本、武闘派で「郎翔君ろうしょうくん」率いる妖精の一族は怪しげな妖術を用いた。

その妖術は「東照一族とうしょういちぞく」の過去幾多の戦から彼ら一族を

勝利に導いた。


東照一族とうしょういちぞく」と「妖術師・郎翔君ろうしょうくん」率いる一族は昔から友好関係にあって両一族の歴史は長い。


しかし、その関係も一人の男によって崩れ去ることになる。


己の、出世、私利私欲のため「芹葉央 魏連翔せばおう きれんしょう」なる一族直属の家臣の一人が妖術師「郎翔君ろうしょうくん」を裏切ったのだ。


魏連翔きれんしょうは妖術師「郎翔君ろうしょうくんに呪いをかけて、そして「東照一族とうしょういちぞく」の国王は「泰明 たいめい」にも呪いをかけて逃げた。

まだ幼かった飛翔は被害を免れた。


その後、 魏連翔きれんしょうは「芽鱗山がりんざん」という山に難攻不落の城を築いた。

魏連翔 きれんしょうがかけた呪いは、日食の夜「妖連郷ようれんごう」と言う異界から黒龍がやってきて「泰明たいめい 」と郎翔君ろうしょうくんを食い殺すという呪いだった。


その呪いを解くため諸国から多数の妖術者を募ったが 魏連翔 きれんしょう

強力な呪いを解くすべもなく黒龍を食い止めるすべもなく、その呪いのとおり

両党首は黒龍に食われてこの世を去った。


東照一族とうしょういちぞく」の家臣たちは国王の仇を討とうと魏連翔 きれんしょう」を狙っていたが相手は難攻不落の城に君臨していて妖術まで使う

暗黒妖精。

おいそれとは太刀打ちできるものではなかった。


そして魏連翔 きれんしょうを打てないまま、月日は虚しく流れた。


泰明たいめいがこの世を去ったため「李王喜 」《りおうき》飛揚ひよう は父、泰明の死後を継いで国王になった。


飛揚には血を分けた弟がいて名を「蓮央美れんおうび」と言った。

兄の飛揚と違って、温厚、知的、冷静、思いやりがあってとくに女性には優しい、

だから宮中の女官から憧れの的だったし家臣からも慕われていた。


飛揚ひよう は蝶よ花よと育てられたため多分にわがまま、ツンデレ、自己中、マイペース・・・まず人に対して優しさのカケラもなし。


そのまま行くと暴君に成り果ててしまうところだったが一人の女性と出会ったことに

よってその運命を大きく変えていく。


その女性の名を「桂花けいか」と言って・・・彼女は「南陽千なんようせん」と言う森に住む聖なる妖精だった。


つづく。


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