第40話
いよいよ8月7日当日。全国的な快晴。
マスコミはあらゆる情報網から行動参加者の動きを探ろうと躍起になった
しかし、組織の当事者もどれだけの人間が動くかわらなのだ。
現に、当日の朝にも飯塚亮や北海道の有沢レイから連絡が入り、
参加人数が読めないと言ってきた。
ただネットの拡散がどれほどのものなのか、場合によってはとんでもない効果を呼び起こすとも言われている。
午前6時、関越、常磐、東北などの高速道路で渋滞情報の第一報。連休以外では考えられない時間帯の渋滞である
午前8時
異常なほどの乗客で電車は麻痺。
ホームに人が溢れる。
一般道では車が溢れ渋滞が発生。
多くの若者が首都を目指して終結しているらしいとニュースは言う。
各国の日本特派員はゼネストのようだと伝えた。交通が麻痺する影響は大きい。
A市に行動を起した人々は、議員定数に反対する議員の名前をゼッケンのようにして書き込んで抗議行動を起した。しかし、この行動はあくまでも散歩である。
議員の自宅周辺まで抗議の行進を実行したがこの抗議行動は夜遅くまで行われた。
現実に、日本のその日の経済活動は停止状態に追い込まれたと言ってよい。
抗議するものは手をつながず、立ち止まる事もせず、ただただ町を歩くように行動した
ただここで興味深いことが起こった。行進をする高校生には母親や弟妹たちが付いており一見して集団行動というよりは集団散歩のように見えるグループも多いという事である。デモの中心は高校生なので兄姉を心配する兄弟たちも付いて行くというので結果としてこのような事になるのも当然かもしれない。
こうなると警察の出る幕はない。子供相手に警察の盾も警棒も用をなさない。
当日参加人数は予想をはるかに超え、日本全国で450万人と報道された。
多くの参加者はツルギの釈放と議員定数の半減を求めた。
議員定数の半減と言う一見して小さな問題にこれほどの人間が行動を起した事はどこか不釣合いのように見えた。
しかしそれは国民の心のどこかに「我々の力で改革を実行したい」と言う思いがあったからかもしれない。
確かにツルギの釈放要求が動員人数の大きな力になったことは間違いない。
このすさまじい現実に、警察はツルギを昼過ぎに釈放。
しかしツルギはこのいきさつについて一切抗議をしなかった。
このことはツルギの評判を高め、一方では政府に対する不信感を募らせた。
拘置をされていたその間ツルギはさまざまな事を考える時間を与えられた
「今後いかに行動すべきか」
「何をすることが国民に最もよいことなのか」
さまざまに頭をめぐらせた。
行き着いた考えの一つは政党を作り選挙に勝利し現政権を倒し政治を本道に戻す事。
この明快さに、自分ながら、ツルギは身体を震わせた
ツルギが警察に拘留されている間も町には抗議の声が溢れ国会議事堂は静かに歩く国民に取り囲まれていた。
各県の市庁舎も同じように抗議の対象となった。
夜が更けてもその勢いが収まる事も無くテレビは予定を変更して一部始終を伝えた。
しかし日本の夜明けはまだ山の向こうである。
8月8日、前日と一変して空は荒れ、時折雨が激しく降った。
昨日の出来事は夢のようである。
ツルギは何事もなかったように市長室に身を休めているが警察の取調べに疲労は隠せない。
そこへ一本の電話。
議員定数半減に反対の議員の武田博信と言う議員が会いたいと言ってきた。
その日の午後、武田議員はツルギと顔を合わせA市の全議員が議員定数半減に賛成する事を伝えた。
この報道はその日のトップニュースで全国に伝えられたがこの議員定数の半減の流れは全国の市町村にまで広まった。
国民の誰もが次は次はと何かを確信した。
ツルギは次の「国会議員数の半減」を突きつける前に「改新」を全国組織にまとめあげ、
それを土台に改革を進めようと決意した。
今回の騒動、事件、行動は日本人の底力を示すものであり将来に渡り日本人の自信の礎となるものであった。
国会議員定数半減の改定はさまざまな方面の改善に繋がるものであった。
日本に光が差してきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます