第37話
20XX年5月。
ツルギの自宅にはそれぞれの地で活躍する高校生が集まった。
有沢レイ(北海道)の「緑の風」
飯塚亮太(滋賀県)の「未来」
高橋麻耶(愛媛県)の「風の声」
高木しのぶ(青森県)「青の立風」
上原メリ(大阪)の「森の息吹」
原西健斗(関東)の「ブルーアース」
長野県のニューワーカー組織「新長野」代表の高杉宗等
ほか7組織
オブザーバーとしてツルギの友人、ステファン。
この集まりは情熱をぶつけ合うものではなく、社会を変えるための戦略を練る場である事を全員が理解している。
議題は「議員定数の半減」
この問題より重要な問題が他にあるのではないか、と言う意見が出た。
しかし、ツルギは「この問題を解決できる力が無ければこれから先の大きな問題を到底、解決することは出来ない」といった。
そういわれて誰もが反論が出来なかった。
議論は白熱し、なかなか良い案は出ない。
「風の声」のマヤは、社会をよくしてくれているのであれば議員の数は問題ではない、と声を上げた。
「緑の風」のレイは、地方経済の苦しい中、経済的に恵まれた議員たちに何故高い報酬を与えなければいけないのか?
その数を減らせばより多くの人を助ける事ができるかもしれない、試算によれば数100億円のせつやくになると言った。
ツルギは、この問題は地方の問題にとどまらないと言い、
今すぐにでも国会議員の数も半減しなければいけないと述べた。
この発言にみんなは歓声を上げた。
「国を変えよう!」
これが合言葉のようになった。
この問題を解決するにはどのようにすべきか。
議論百出である。
決定的な意見が出る様子も無く、一瞬その場が静かになってから、ツルギが意見を述べた。
その内容は、
反対する国会議員、地方議員を公開の討論会への出席を要請し意見を述べ合う。
しかし反対議員が公開の場に出てくるとは思えない。全く相手にされていない。
馬鹿にされてもいる。
そうなれば直接行動以外にないとツルギは言った。
予想した通り反対議員は全くの無視の態度である。
ツルギは言った、この意志表明行動はデモではない。
「三々五々」つまり、参加者、賛同者は通行人のように町を歩くのだ。
散歩のように歩くのだから警察にデモの申請を出す必要は無い。
警察の規制は受けない。
当然、参加人数は多ければ多いほどよい。
皆はSNSで呼びかけようと互いの意思を確認し合った。
方針が決まったことで、みんなは安心の表情を浮かべ、色々な悩み事や心配事をそれぞれが話し始めた。
この中で、長野県のニューワーカー組織「新長野」代表の高杉宗(そう)が言った。
「急速な物価上昇は我々の生活を直撃している。税金も上がっている。給料は上がらない。会社に賃上げを望めるほど会社は儲かっていない。どうすればよいのか」
これに答えて、ツルギは
「今の自分にはこの日本の状況を変える力は無い。しかし、出来る事は全力で行動し解決したい」と言った。
今のツルギにはこの様にしか言えなかったのだ
ここでステファンが声を上げて
「日本人は何時からこんなにおとなしくなったの?何をやられても黙るばかり。こぶしを振り上げて突き進む事も必要じゃないの?」といった。
他の若者たちはこの意見に首を大きく振って頷いた。
若者は国に翻弄(ほんろう)され、やられ放題を肌で感じている。
大人のツケを自分達が払わなければいけないと思っている。切実な意見である。
次に、北海道の有沢レイが話し始めた。
「我々にどれだけの動員力があるのだろう」と。
それぞれが確信できるところの数を上げた。
その合計は、10000に満たない。
この数が多いのか少ないのか、それは分からない。
今後の活動しだいではもっと増えるだろうと期待を込めて話し合った。
次に、日程は、夏休みの8月という事になり、
最終的に8月7日水曜日に決まった
まだ皆んなはSNSの威力は知っていても現実には如何なるものかを知らない。
蓋を開ければ驚きの結果が待っている事を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます