第25話

アメリカでの驚きと感激を心に秘めて帰国したツルギは早速、市の改革に乗り出した。

   ・市の経済の建て直し(国の経済の立て直し)

   ・議員定数の半減(国会議員の定数半減)

   ・食料自給率の改善

これを機に国政にも意見を述べ行動を起こそうとするものである。

一人の地方政治家が掲げる目標では無い。

しかし、今までは、である。

ツルギは今すぐにでもやらなければいけない問題だと固く信じている。

この議員定数の半減はツルギがかねてから考えていたことであり地方の議員も国会議員の数も半減しようとするものである。

食料自給率の改善は国民が漠然とながらも不安に感じている事でありツルギが最も心を痛めている問題でもある。

これが改革の第一歩と考えている

議員定数半減が正しい数かどうかは別問題であり象徴的な旗頭としてツルギはとらえている。

議員と名の付くものは腹の中でせせら笑っている。

出来るはずがないと。

ツルギのスローガンを唐突ととらえているのである。

今に満足しているとすれば、議員の反対は当然である。

しかし、これでは市の改革も国の改革も前には進むものではない。

ツルギは、この問題は改革の突破口であると確信している。誰も出来ない改革なのだから。

地方政治家が行うことでは無いと言う批判は

覚悟の上でツルギは行動するのである。

国政に牙を向く勢力の一号である。

ツルギはさまざまな問題や不安、悩みなどを率直に訴えた。

この悩みにいち早く反応したのは滋賀県の飯塚亮太と言う高校生である。

メールで、一高校生としての「思い」を切々と述べ、「会いたい」と伝えてきた。

ツルギはその熱意と内容に興味が湧(わ)いて合う事にした


秋空の広がる爽やかな日に、

つるぎはその少年と市長室で顔を合わせた。

少年は溢れるような情熱をからだ全体で表し年齢らしからぬ冷静さで日本の将来を憂えた。

ツルギが

「一番興味のあることは?」と始めに聞いた

「国の事」と答える

「国の何を?」

「国の未来を」と、顔を曇(くも)らせる

「今を、どのようにしたいの?」

「食料と国防の問題」とはっきりと答えた

確かに食糧自給率の低さは、

「国の安全保障の問題」と繋がっていると言い国防の問題は国防費の多少の問題ではなく

「国防の意識の問題」だと言った

ツルギは正直なところ「このような高校生が今の日本にいたのか」と驚いた。

相手は幼さの残る少年とはいえ話の内容はシッカリしたものだった。

予定の時間を一時間オーバーして二人は話を終えた。

亮太にとって正直なところ、ツルギの言う「議員定数の削減」がそれほど重要なものとは思えていなかった。

これよりの重要な問題がほかにあるように思っていた

しかし、

今までに誰も実現できない「これ」を「ひっくり返せば」大きな改革の糸口になるかもしれないと言うツルギの「ひとこと」に青年は心を動かした。

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