第14話
さてこの事件が、
日本の社会全体をゆるがすきっかけとなるのである。
事件を整理して言えば、
「被害者三人は命に問題なく、順調に回復した。
犯人は薬物常習者であり、精神錯乱のまま犯行に及び、ツルギの一撃によって死に至った。」
これがすべてである。
警察の手は全く借りずに、事件を解決してしまったのである
ツルギは、空手有段者であったことと、過剰防衛も加わり、その結果、有罪となった。
執行猶予付きの実刑判決を受け、ツルギは「前科者」になった。
意外な結果である。
日本の司法が社会から隔たっている事をあらわしていた。
これは問題を大きくした。
命を懸けて人を助けた者が罪になったのである。
如何に法律にそっての罪であっても、誰もがおかしいと感じた。
このニュースは世界を駆け巡った。
日本の司法を笑う国もあれば、あきれる国もある。
ツルギの事件解決の一部始終を形態のビデオに撮っているものがいて、
それが世界に配信された。
特にアメリカは自国民を救ってくれたツルギは英雄そのものの扱いである。
ツルギの名を知らない者はないほどであった。
日本では、国民の怒りが充満した。
何故、命を懸けて人のために尽くした人間が罪に問われるのか。
社会は司法を非難した。
ツルギは控訴すべきだと議論が沸騰した。
事実、控訴すると逆転するだろうと誰もが予想した。
しかし、ツルギは周りの意見を押さえ、判決をそのまま受けると明言した。
これによって、ツルギは日本の現実を世間に突きつけたかったのだ。
ツルギは、いつも心の中で「日本のありかた」に不満を持っていたのである。
これをチャンスと考えたかもしれない。
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