第12話

話を戻す。

さて、それからさらに、2カ月ほどが過ぎ、

体重も理想的な数字に近づいていった

ツルギのもつ肉感と知性は多くの人をひきつけた

八百屋の客といえば、主婦が通り相場だが、今は違う。

八百屋にはふさわしく無いような男の客が、

持ちなれない格好で大根を手にし、話しかけては、何とかツルギの気を引こうとした。

そんな客が、毎日のように、列を作るほどである。

その地域ではちょっとした評判になっていた。

そんな客の中にオヤジの息子の顔も見える

手の届かないスターを見つめるようにツルギを見つめていた

あの馬鹿息子も、今は性格のまじめさを顔に出し店の手伝いをしている

ツルギを手伝う姿もまめまめしい。

ツルギは今までにない充実感と、女としての幸福感に包まれていた。

しかし、事は、何でも順調に行くものではない。


思いがけない事件が、ツルギの人生を一変するのである。

ある日の事、

配達の用があってスーパーへ向かった。

試食コーナーで食べ歩いたことのある、行き慣れた所である。

気恥ずかしい思いもあるが、今のツルギと同一人物であると見破る者はいない。

約一時間後、

このスーパーを舞台に、大きな事件が起こる。

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