第6話
希望が腹の底からわいてきた
しかし空腹には勝てない
この女の敵は「食欲」なのだ!
あともう少しで友人のマンションと言うところで、お腹が空き過ぎてフラフラし始めた。
空腹には我慢が出来ないのが、この女の性格だ。水でも飲もうと思って近くのスーパーのトイレに向かった。ただで飲める水はそこにしかない。
その場所がトイレであろうが何であろうが、この女にとってはどうでも良いのである
水場を求めるアフリカの大型動物のようにノソノソ歩いていると、どこからか良い香りがしている事に気がついて、その女は目を大きく開き、鼻を鳴らした。
前をよく見ると、スーパーの中央付近に販売員が、つまよう枝に何かを刺して「どうぞ、どうぞ」といっている。
おいしそうなウインナーのかおりがその辺りに充満している
これを見逃す手は無いと思ったこの女は、ふらふらとそこへ行き、奪い取るように三つほど口に放り込んだ。四つ目を奪い取ろうとしたところで、拒否されて、仕方なくその場を離れたがその女の後姿を見送る販売員は恐ろしいものでも見るような目つきをした。
この女の口の中は、ウインナーの香りで充満している。
女の幸せそうな顔。
すでに、友人との約束は完全に忘れている。
女は、もっと楽しい事が先に待ち構えているような気がしてスーパーの中を歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます