第2話

この状況から抜け出すために、自分を改造しなければいけないとこの女は感じたが、それは当然のことである。

今の見た目では結婚も出来ず、仕事を手にする事も難しい。人は、「外見よりも心だ」というが、外見の大切さをこの女は痛いほど知り尽くしている。

化粧をしてきれいになって、男からも女からも好かれるような人間になりたいと、日ごとにこの女は思うようになった。会社でのイジメでかなり心を傷つけられてはいるが、最近では、自分にも原因があったと思い返している。この感じ方は、この女の良いところかも知れない。

鏡に向かって化粧することもなかったが、「こんな姿では男に好かれるわけがない」と思いながら、鏡の中の自分をジッと見つめた。

・​・・こんな醜いデブの大女を好きだといってくれる男がいるだろうか・・・

・・・・道行く人さえ、指差すように私を見てしまうほどなのに!・・・・

自分を見つめれば見つめるほど、わけもなく怒りが湧き上がり・・絶対痩せてきれいになってやる・・・と、この女は心の中で叫んだ。

このことは、この女にとって人生で初めての積極的な感情である、いや、積極的思い付きと言ってよい。

早い時期からこの積極さがあればと思うのだが・・・・今言っても仕方の無いことだ・・・


この女の一日を見れば、体重の重さが如何にその人の行動を左右するかが分る。

マメに立ち働きたいと思っても気がせくばかりで動きがついていかない。掃除機を手にして10分もすると、ゼイゼイと息をしてそれを投げ出し、大きな体をソファーにあずけてしまう。

ソファーに座れば菓子を食べ、ドリンクを手にし、リモコンに手が伸びてテレビを見入ってしまう。

この女もそんな自分に嫌気がさしていた。

そして、心でつぶやいた。

「やせよう!やせよう!」と。

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