第29話幻のカ〇サキFX400㏄

肘を持つ手をパッと話して、子温度は春樹に背を向けた。


地下鉄生田駅を出て、ハンズの表玄関のドア前で揉める若い男女を冷ややかに観て通る勤務帰りのサラリーマンやオーエルが多かったが、一目で学生と分かる鈴蘭学園の制服に興味を示して脚を緩める者も居たが、ハンズ面玄関に掛かる大時計を観てすぐさま地下鉄の駅を目指し、足早に階段を駆け下りて行った。


 生田新道はルミナリエで、見物客と会社帰りの勤め人が入り交じりごった返していたがさすがに三宮センター街まで行くと勤務が終わって家路を急ぐ者とルミナリエを見学摺る者とがハッキリ色分け出来て、歩行も同一方向に向けて全員同じ時間が流れて行きまったりとした流れが出来ていた。



 その流れを逆らって大丸へ急ぐ二人は人塵を避けるため横歩きやジグザグに歩き二人は離れ離れに為ったが、なんとか元町駅南のスクランブル交差点に辿り着き目の前が大丸という所まで来た。


 その時、ドルルーン!


ブォンブォン!


パラリラパラリラ!


 時代遅れの昭和の暴走族の陳腐なレトロ音階を鳴らし一台の400ccKBYAKI中型FXが停まった。

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