第14話サイフォンの沸き上がり

へえーと、危うく答えそうに為るが、そこは堪えて、「そういえば、隣に座っていた娘の方は、170は下らないよ さっき駅で会っていたんだママ。」


そこまで言うとキリコは急に顔面が強張り


「あのね・・・。」


 それきり黙り込んで厨房へ向かった。


「全部暴露してしまう所だった。


「危ないアブナイ・・・。」


今日一日、春樹に対して寡黙を決め込む覚悟で・・・サイフォンの沸き上がりを見詰める。


 もう為る様に為れという感情が生まれては消し、生まれては消し込むキリコの懊悩に古轍を消し去りたい暗雲の逡巡が年老いたキリコの身体や懊悩までも駆け巡りケジメの無い思いを納めあぐねていた。


 数日後・・・。

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