第13話秘密のバックヤード

さっきの女生徒じゃん!


奈美じゃん!


そう思いキリコに向き直ったが、厨房から出たキリコが、春樹の耳もとで「あの親子だよ。後でね・・・。」


と、言い残してバックヤードに消えた・・・。


「ちょっと待ってママ!?」


小走りでキリコの後を着いてきた春樹を観て、少なからずとも遣る雨季の幼い姿を思い出していた。


「可愛らしかったのよね、あの頃・・・。」


満面の笑みを浮かべたキリコの感情に躊躇した春樹は、このカフェの歴史を知りたいとの思いが前面に出ていた。


 春樹の入った厨房には、食べかけのトーストが放置されてバターとジャムを塗ったトーストが皿に乗せてあった。


 四角いトーストの四つの角は、キリコが噛った跡がクッキリと残っていた。


 仕込みテーブルの真ん中にそれはあったが、「こんな食べ方をするなんて、ママだろう。」と、思い当たったが既に冷めていて食欲をそそる食べ物は全く無く、この店の忙しさを物語っていた。


「何か意味が有るのあの親子に?


」簡潔明瞭な質問をした春樹はどちらかに転ぶだろうキリコの答えを阻む質問だったが・・・。


「あの母親の方は座っていて身長が分からないケド・・・。


 170センチは有るかもよ?」

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