第4話 初めての人里

 クリスが落ち着き、早速聞いてみた。

「なぁ、どうやってこの島から出るんだ?」

「それはね、これよ」

 クリスの手には青い石が握られていた。

「それは?」

「はじまりの石」

「はじまりの石?」

 クリスによると、はじまりの石というのはこの世界にあるランダムな町にテレポート出来る。ただし、この石は神様からの贈り物でこの世界にたった一つ。つまり持っているこれしかなくて使ったら壊れるとのこと。

「すごいんだな」

「まぁ、ほかにもいくつか品物を預かってきてるのでここで渡しときますね」

 そう言ってクリスはいろいろ渡してくる。


 皮の 兜 胸当て 手袋 靴 


 洋服が入った袋

 

 下級 ポーションx10 

    mpポーションx10

 

 召喚用の紙x10

                 を龍一はゲットした。


 貰ったものを一つずつ確かめる。

 まず皮の防具一式、一応急所などの一部分には金属が裏打ちしてありそこそこ強度がありそうだ。ついでに洋服の入った袋には何着か着替えが入っていた。


 次に、ポーションだがそれぞれ回復量が決まっているらしい。貰った下級のポーションはそれぞれ50回復するらしい。


 そして、最後に召喚用の紙。これについてはクリスもあまり詳しく知らないと言っていた。おそらく召喚のスキルで使うものだと思う。


 まぁ、こんなところか

「なぁ、クリスそろそろ出発しようぜ!」

「もちろんいいけど…その格好で?」


 そうだった、着ているのは布一枚。危うく露出狂認定されるところだった。

「じゃあ、外で待ってるわね!」

 そう言って、クリスは外に出ていったので着替えを始める。


 ゴソゴソと取り出し、着てみる。

「なんか暗殺者みたいでカッコいいな」

 上は黒のネルシャツ、下は黒のスラックスという格好になった。さらにその上から皮の防具を付けていく。


「なんだかワクワクするな」


 なんだか着ているうちに、テンションが上がってきた。龍一は鏡の前でポーズを決めたりしている。

 

「まだなのー」


 外からクリスの声がする。

「すぐ出るよ」

 そう言って荷物を持ち外に出る。


「すまん、おそくなった」


「もう仕方ないわね。じゃあ、行きましょうか」


 そう言ってクリスは、はじまりの石を持つ。

 二人は輝きに包まれ、瞬きをした次の瞬間には噴水の目の前に立っていた。街並みは中世のヨーロッパを彷彿させるものだった。


「おどろいたな、ここは…?」


 二人は近くにいた、町人に声をかける。


「やぁ、そこのお嬢さん」

 龍一は声をかける。


「えぇ、なんですか」

 話しかけた女性は、どうやら町娘の様で急に話しかけられかなり驚いている。


「ここはなんという町ですか?」

 

「ここ、ですか?」

「ここは、王国の辺境の地でクタという町ですが…」

 その町娘は不思議に思いながら答えた。


「ありがとう、最近この町に着いたばかりなんだ」


「あぁ、そうだったんですね」

「恰好から見るに、冒険者の方だったり?」

 

「冒険者?」

 その町娘さんに聞くと、冒険者とは様々な仕事を受け持つ便利屋に似た物だという。


「なにそれ、カッコいい!」

 龍一は冒険者が集まるギルドという場所を教えてもらって町娘にお礼を言い、そのままギルドに向かう。

「え、ちょっとまってー」

 クリスの存在を忘れてグングンとギルドへと向かう。

 






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