第42話 みんなで眠る

 夜の帳が下り、俺たちは、焚き火を囲んで夕食を食べていた。


 今夜は、寒風が吹きすさみ、凍えるように寒いので、焚き火がとても心地良い。


 俺の肉体は、食事が出来る程度には回復してきた。


 身体が栄養を欲しているのだろう。食欲があって、沢山食べた。


 しかし、沢山と言っても、フローラとミネルヴァと比べると、俺は少食の部類に入る。


 二人とも凄まじい食事量だ。

 二人とも、10人前をペロリと平らげた。


 そして、まだ食べている。凄い……。

 こんなに食べて、太らないのが本気で不思議だ。


「ご飯が、美味しいにゃー♪」

「最高に幸せなの♪」


 猫神族と天竜族の少女二人は、食べ比べをするようにドンドン食べる。

 まあ、確かに美味いな。


 今回の食事は、ルイズが作った。

 なんでも出来る万能優等生ルイズは、料理も上手だった。

 っていうか、ルイズって本当に何でも出来るなぁー。


 苦手な事はないんだろうか?

 なんか、変な方向に興味が湧く。


「フローラ、ミネルヴァ。ゆっくり噛んで食べて下さいね」


 ルイズが、苦笑する。

 ポジションが、お母さんだね。


「ミネルヴァは、もう自分の体積の3倍くらい食べてる」


 エルフリーデは、心底不思議そうに二人を見る。

 俺も不思議だ。

 この二人の食費の為にも、もっと稼がないと。


「ご馳走様でしたにゃ♪」

「ミネルヴァもご馳走様なの♪ 200年振りに食事をして、元気になったの♪」


 ミネルヴァが、極上の笑顔を浮かべる。


「200年振りですか……。大変でしたね」


 ルイズが、心から同情して、ミネルヴァの赤髪の頭を優しく撫でる。


「うん。短い時間で良かったの♪ 1万年とかだと、さすがに退屈で死んじゃうの」

「い、1万年?」


 ルイズが、黄金の瞳に驚きの色を浮かべる。


 天竜族は、不老不死だ。


 時間の感覚が、俺たちとは全く違うようだ。


 なんだか、食事を終えたミネルヴァは、生命力が輝いて、元気になっている感じがする。


 紫色の髪の少女が、微笑む姿を見て、俺は少し安堵した。

 やっぱり、女の子は、笑顔が一番だ。







 食後、洗い物を終えると、全員疲労回復の為、すぐに眠ることにした。

 特に俺には睡眠が必要だった。


 『虚神ゲヘナ牢獄プリズン』の反動が、まだおさまっていない。

 身体のアチコチが、筋肉痛で悲鳴をあげている。


 しっかりと眠って、肉体を回復させないといけない。

 設営されたテント内に、全員が入る。


「全員で眠るなんて素敵なの♪」


 ミネルヴァが、はしゃいだ。

 ずっと孤独だったから、多人数で寝るのが楽しいらしい。 


「俺は、テントの外に出て、一人で寝た方が良いんじゃないか?」


 テント内はせまく、男女が密着状態になる。

 俺も一応は男だ。

 女性陣に不快な思いはさせたくない。


「とんでもありません。先生はお疲れなんですから、ちゃんとテント内で休まないとダメですよ」


 ルイズが、子供を心配するお母さんのような表情をした。


「そもそも、こんな寒い夜に、テントの外で寝るなんて論外です。風邪を引いて、肺炎にでもなったら、どうするおつもりですか? 下手をすると死んでしまいますよ?」


 俺は、言葉に詰まった。

 ぐうの音も出ない。

 風邪で死ぬなんて、かっこ悪すぎる。


「それに今のカインは弱っているから、心配だにゃー。側にいてくれないと安心できないよ」

「ん。今の師匠の状態だと、魔物の襲われた時、対処できないと思う。下手をすると、Dランクの魔物にも負けそう」


 フローラとエルフリーデが、淡々と正論を俺に諭す。


「そうだな。その通りだ」


 俺は、自分の過ちを認めて、反省した。


「じゃあ、さっそく寝るにゃー♪」

「ん」

「眠るのー♪」


 フローラ、エルフリーデ、ミネルヴァが、ほぼ同時に言う。


 そして、三人が、一斉に服を脱いだ。


 フローラとエルフリーデは下着姿になり、ミネルヴァは布の服を脱いで、一糸まとわぬ裸体になる。


「ぶふぉっ!」


 俺は慌てて目を閉じた。


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