第28話 カインVS勇者ハーゲン 1
「よくも勇者である俺を殴ってくれたな! この罪は万死に値する!」
ハーゲンが俺に剣の切っ先を向けてきた。
猫神族の力で殴ったのに既に回復している。
さすがは勇者だ。
「お前が先に暴力を振るったからだろうが」
俺は剣を構える。
「黙れ! お前のような奴をパーティーに戻そうなどと考えた俺が間違っていた。お前などもう必要ない。今ここで処断してやる!」
ハーゲンが、俺にむかって襲い掛かってきた。
俺は袈裟斬りしてきたハーゲンの剣を、自らの剣で防いだ。
鍔迫り合いをしながら、俺とハーゲンは睨み合いをする。
「お前如きが俺に勝てるなどとは思わない事だな」
ハーゲンが、嫌な笑みを浮かべて俺を挑発する。
「どうかな? 俺は勝つつもりでいるぞ」
俺はハーゲンに言い返した。
こいつはルイズを殴ろうとした。
叩きのめしてやらないと気が済まない。
「ほざくな! どうやって俺に勝つつもりだ!」
金髪碧眼の勇者が怒号する。
「とりあえずは力押しかな」
俺は全身の力を込めて、ハーゲンを押し返した。
ハーゲンは俺に力負けして、徐々に後ろに後退する。
「なっ、なんだこの力は?」
ハーゲンは驚愕した。
俺はさらに力を込める。
鍔迫り合いのまま、俺はハーゲンをドンドン後ろに後退させた。
猫神族の力のお陰で、ハーゲンがものすごく非力に感じる。
「どうした? 勇者の力はこの程度か?」
「ぐうっ! 調子にのるなよ!」
俺が挑発すると勇者ハーゲンは後ろに跳躍した。
曲芸師のようにトンボ返りをして、地面に着地して距離を取る。
力押しでは俺に負けると判断したのだ。
咄嗟の機転はさすがに歴戦の勇者だけある。
「力ではともかく、剣技で俺に勝てると思うな!」
ハーゲンが剣を振るってきた。
鋭い斬撃が、縦横無尽に襲いかかってくる。
見事な剣技だった。
これ程の剣力を持つ人間はそうはいないだろう。
並の剣士なら相手にもならない。
横薙ぎ、袈裟斬り、逆袈裟、刺突。
あるゆる角度から、必殺の斬撃が放たれる。
俺は全神経を集中して、ハーゲンの剣撃を防いだ。
刃鳴りが響き、剣と剣が衝突して火花が散る。
「ハアっ!」
ハーゲンが必殺の剣撃を繰り出した。
上段からの袈裟斬りだ。
雷光のような剣撃が、俺の首筋めがけて襲いかかる。
次の刹那、俺は『風の加護』で超速移動し、ハーゲンの斬撃を回避した。
風が俺を包み込み、瞬間移動のような速度で移動する。
「なっ!」
ハーゲンが驚いて、俺を見る。
俺は一瞬で、ハーゲンから10メートルも離れた場所に移動していた。
『風の加護』がある限り、ハーゲンの剣が俺に届く事はないだろう。
(確実に勝てる)
と、俺は確信した。
ハーゲンと闘ってみて分かった。
ルイズ、フローラ、エルフリーデの能力を
ハーゲンと闘っていても、恐怖を全く感じなかった。
格下の魔物と闘っているような気分だ。
「……どうやら、しばらく見ないうちに少々腕を上げたようだな」
金髪碧眼の勇者は、俺を睨んだ。
そして、体内で魔力を練り上げる。
俺のパワーとスピードを目の当たりして、近接戦では不利だと気付き、魔法での勝負に切り替えたようだ。
俺も魔法で対抗する為に、精霊族の能力を使って魔力を大気中から集める。一瞬で膨大な魔力が俺に集まる。
「跡形も残さすに消し飛ばしてやる!」
ハーゲンは、俺にむけて手をかざし、
「『
と唱えた。
『
聖なる魔力が、稲妻のように宙空を飛来して、俺に襲い掛かる。
「『
俺は威力をかなり手加減して、雷属性の初級魔法を放った。
俺の手から、青い稲妻が放たれる。
互いの魔法が、宙空で激突した。
俺とハーゲンのいるほぼ中間地点で、二つの魔法が正面衝突して、爆音と閃光が弾ける。
やがて、俺の『
当然だ。
精霊族の能力で魔力総量が上がり、俺の魔法の威力は桁違いに増幅されている。
俺の電撃魔法が、『
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