第20話 フローラは夢心地で想う

◆フローラの視点◆



 にゃー♪ 今日も楽しかった。

 カインたちと一緒に魔物を沢山倒して、ご飯を沢山食べれた。

 幸福だにゃー。


 これも全部カインのお陰だ。

 カインと会ってから、全てが変わった。

 ルイズも、エルフリーデも、もの凄く強くなった。


 私も、信じられないくらい、力持ちになった。

 それに、カインといると凄く楽しい。

 世界が色鮮やかに見える。


 ちょっとした事でも、楽しく感じる。


 カインと一緒に王都を歩いたり、カインとお話したり、一緒にご飯を食べるだけで、満ち足りた気分になれる。


 幸せだにゃー♪

 こんなウキウキした気分になったのは生まれて初めて。

 カインの顔を見るだけで、胸がキュンとする。


 なぜかドキドキして、頬が染まる。

 どうしてだろう?

 ……。

 ……。

 ダメだ。

 考えたのに分からないにゃ~。


 あっ、今も胸がドキドキしてる。

 カインの事を考えちゃったからだ。

 どうしてなんだろう? 

 どうして、こんな気持ちになるんだろう?


 心地良いような。恥ずかしいような不思議な気持ち。

 ふにゃ~。

 なんだか、鼓動が早くなってきた。


 最近、夢をみる時はいつもカインの夢を見る。

 私達が鷲頭獅子グリフォンに襲われていた時に助けてくれた時の夢。

 そういえば二年前も助けてくれた。

 なんだか、お世話になりっぱなしだにゃ~。

 修行をつけてくれるし、何でも優しく教えてくれるし……。


 正直に言うと、カインみたいな人は珍しい。

 私とルイズ、フローラは三人で冒険者をしてきた。

 楽しい事も多かったけど、嫌な事も多かった。


 女ばかりの冒険者パーティーは、苦労する事も多い。

 なぜだが知らないけど、男の冒険者は女を見下す人が多い。

 見下したり、妙に威張り散らしたり……。


「俺の方が強い」


 とか、言い出す訳の分からない人もいる。

 女というだけじゃない。


 私は猫神族だし、ルイズはハイエルフ。

 エルフリーデは精霊族だ。


 希少種は、人間族に比べると個体数がもの凄く少ないし、エルドラス王国にはいないから、私たちは目立ってしまう。


 希少種は奴隷として高値で売れるから、奴隷として売り捌こうとして近づいてきた悪人もいた。


 全員、排除してやったけど。 

 嫌な事を思い出したにゃ~……。 

 思い出すだけで、ウンザリする。


 悪人とか嫌な人間は、まとっている空気が邪悪だからすぐに分かる。 毒蛇みたいに気持ち悪い感覚がする。


 私はバカだけど、直感だけは鋭いから、そういうのはすぐに分かる。

 そういう嫌な人や悪人のまという空気と、カインの空気は全然違う。

 カインのまとう空気はすごく柔らかい。


 温かくて光り輝いてる。

 草原の風みたいに心地良い。

 にゃー♪ カインの事を考えると、気持ち良くなってきた。

 だから、一緒にいると楽しいし、気持ちが良い。

 いつも明るい気持ちになる。


 カインとずっと一緒にいたいにゃ~。

 明日も、明後日も5年後も10年後も、できれば100年後も……。

 もちろん、ルイズとエルフリーデも一緒に。


 段々眠気が襲ってきた。

 私は半分眠りながら考える。

 でも、カインはどうかなぁ……。


 私みたいなバカな子とずっと一緒にいるのは嫌かにゃ~……。

 なんでだろう。

 今度は悲しくなってきた。

 カインの事を考えると、いつもの自分じゃなくなる……。

 にゃ~。


 悲しいのに眠たくなってきた……。

 睡魔が襲ってきて、夢見心地の気分だ。


 そうだ……。

 今度、カインに聞けばいいや。


 ずっと私たちと一緒にいようって……。

 うん。

 そうすれば良いにゃ~。

 そんな事を思いながら私は眠りに落ちた。



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