第6話 美少女3人と誓約を交わす。

 食事が終わると、王都の北にある草原地帯に来た。


 すぐ近くには魔物が出る森がある。

 話し合った結果、俺たちは修行をすることにした。


 ルイズ、フローラ、エルフリーデ。


 この三人は、潜在能力が圧倒的に高いが、まだそれを十全に生かし切れていない。


 俺が彼女たちを指導して、強くする事を一番最初の課題にしたのだ。


 そよ風が吹き付ける草原地帯で、俺の正面にルイズ、フローラ、エルフリーデが立っている。


「さて、じゃあ修行を開始しようか」


 俺が宣言すると、ルイズが頭を下げた。


「宜しくお願いします。先生」

「カイン、よろしくね」

「師匠、よろしく」


 フローラとエルフリーデも頭を下げる。

 三人とも礼儀正しいなぁ。


「じゃあ、授業開始だ。まずは手っ取り早く、強くなる方法から教える」

「そんな方法があるのですか?」


ルイズが軽い驚きを顔に浮かべる。


「楽で良いね♪」

「ん。楽が一番」


フローラとエルフリーデは無邪気に喜んだ。


「俺の恩寵者ギフターの能力を使えば、すぐに強くなれる。というか、その為の能力だからね」


 俺は三人の美少女に説明をはじめた。


 まずは『誓約』を行い、互いにパーティーメンバーになる事を了解し合う。


 『誓約』とは魔法の一種だ。

 『誓約』は魂に干渉する魔法で、商売の契約などにも用いられる。


 誓約で、互いにパーティーメンバーになる事を誓い合うと、それは魂で繋がった約束になり、メンバー同士に強い連携や、色々な効能が生まれる。


 その上で、俺の『恩寵者ギフター』の能力を使うと、ルイズたちの魂に干渉して、ルイズたちの潜在能力を最大限に引き上げる事ができる。


「凄いです……」

「カインの能力って、チートだね」

「さすが私の師匠」


 三人の美少女たちが、驚嘆する。

 少し照れるな。


「ちなみに、この『恩寵者ギフター』の能力は『誓約』を前提としている。仲間としての信頼関係、いわば魂の絆が深ければ深いほど、恩寵者ギフターは強い力を発揮する」

「なんとなく理解できます」


ルイズが頷く。


「ねぇ、カイン。つまり私達とカインが仲良くなればなるほど、私達は恩寵者ギフターの効果で強くなれるという事?」


 フローラの問いかけに俺は頷く。


「その通り」

「なら、師匠ともっと仲良くなるように頑張る」


エルフリーデが乗り気になる。


「逆に、互いの信頼関係が薄まると魂の絆が弱まり、恩寵者ギフターの効果が減少する。俺が勇者パーティーと上手くいかなくなった理由はここにもあるんだ」

「どういう事でしょうか?」


 ルイズが問う。


「簡単な事だよ。俺は随分前から、勇者パーティーのメンバー達を信頼できなくなっていたんだ。友情も感じなくなっていた……」


 俺は苦笑した。

 勇者ハーゲンたちは、正直、あまり性格の良い連中ではなかった。

 いつも俺を格下と蔑み、罵倒や嘲笑を浴びせてくる。


 正直、勇者ハーゲンたちは、倫理や道徳に外れた行為をする事も多々あり、その度に俺はあいつらに注意をし、反発を買って憎まれた。


「そうなるともうどうしようもない。俺とあいつらの信頼関係や友情がなくなり、魂の絆が弱まる。同時に恩寵者ギフターの効果もなくなり、俺は益々無能扱いされた、まあ、こんな感じさ」


俺は肩をすくめた。


「それは勇者パーティーが悪いのです!」


 ルイズが美貌に怒りの色を浮かべる。ハイエルフ特有の細長い耳まで真っ赤になっている。


「どうしようもない連中だよ! 最低!」


 ルイズも猫の尻尾を逆立て、怒る。可愛い顔が真っ赤になっていた。


「師匠に対して無礼。腹が立つ」


 エルフリーデが、水色の瞳に怒りをよぎらせる。

 俺は苦笑して、首を振った。


「いや、俺自身はもう良いんだ。君たちに会えたからそれで十分だ」

「先生がそう仰せなら……」

「でも腹立ちがおさまらないよ……」

「なんだか勇者パーティーを殴りたい」


 剣呑な雰囲気になってきた。

 少し物騒だなぁ。早く話題を変えよう。

 俺は軽くを手を打ち合わせた。


「じゃあ、話を戻して『誓約』をしようか?」

「了解です。やり方はどうすれば良いのですか?」


 ルイズが質問する。


「簡単だよ。俺が誓約の魔法を使った後、互いに口に出して、仲間になると誓い合えば良い。はじめて良いか?」

「はい」

「大丈夫だよ♪」

「準備万端」


 元弟子の美少女三人の答えを聞くと、俺は頷き、誓約の魔法を発動する。

 俺の体内で魔力が練られ、やがて、俺とルイズたちを青い魔法光がツ包む。


「誓約に基づき、ここに魂の絆を結ぶ。我らは運命をともにし、志を同じくし、ともに未来を進む同志となる事を神々に誓う」


 誓約の文言を紡ぐと、俺はルイズの前に歩み寄る。

 銀髪金瞳のハイエルフの美少女に視線を投じる。


「ルイズ。君は僕の仲間になってくれるか?」


 俺が問う。


「はい。もちろんです」


 ルイズが答えると、魔法光が一際強く光る。

 俺は、ありがとう、と答えると、次はフローラの前に行く。


「フローラ。僕の仲間になってくれるか?」

「なるよ♪ カインとなら絶対に楽しいもん♪」


 フローラが答えると、また魔法光が輝きを増す。


「エルフリーデ。僕の仲間になってくれるか?」

「ん。なる」


 精霊族の美少女が無表情で答えると、魔法光がまた輝く。


「ここに誓約は約定やくじょうされた。我らに大いなる祝福があらんこと願う」


 俺は誓約の魔法を終わらせた。


「よし。これで誓約は成された。あらためてよろしく」

「はい」

「よろしくね♪」

「よろしく師匠」


 美少女三人が、笑顔を浮かべた。




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