「モノマネだけの無能野郎は追放だ!」と、勇者パーティーをクビになった【模倣】スキル持ちの俺は、最強種のヒロインたちの能力を模倣して、気付いたら魔王を倒していた。
第3話 元弟子の美少女3人が、やたらと褒めてくれる。
第3話 元弟子の美少女3人が、やたらと褒めてくれる。
俺は2年くらい前に、彼女たちが駆け出し冒険者だった頃、冒険者のイロハを教えてあげた事があった。
3人とも飲み込みが早く、才能に溢れた素晴らしい生徒たちだった。
教えた期間は三週間くらいだったが、メキメキと上達していったのを今でも覚えている。
俺はその時、すでに勇者ハーゲンのパーティーメンバーだったが、その頃ハーゲンたちは、大貴族から酒池肉林の接待を受けて遊びほうけていた。
俺は、あまりそういう馬鹿騒ぎが好きではないので、その期間を使って、彼女たちを指導したのだ。
「くだらん。物好きな事だな」
と、当時、戦士グスタフに嘲弄されたのを思い出した。
彼女達の名は、
ルイズ=ベルトラン。
フローラ=ヴァロア
エルフリーデ=ディオールという。
ルイズは、ハイエルフの少女で、年齢は16歳前後だったと思う。
腰まである長い銀髪と、黄金に輝く瞳をしている。
身長は165センチほどで、均整のとれた細見の身体をしている。顔立ちは完璧に整い、非人間的なまでに美しい。
フローラは、
年齢はルイズと同じく16歳前後だろう。
紅茶色の髪と、
猫神族は、
身体能力が非常に高い種族で、数多の種族の中でもトップクラスといわれている。
エルフリーデは、精霊族の少女だ。
彼女もルイズやエルフリーデと同じく、16歳前後だと思うが……、なんというか外見が非常に若々しく、13歳前後の外見をしている。
身長は低く、青い髪と水色の瞳の所有者だ。
精霊族特有の夢幻的な美貌をしており、例えるなら月のような美しさだ。
いつも無表情で、何を考えているか少々分かりにくい子だ。
三人とも希少種と呼ばれる珍しい種族で、アルヴヘイム聖王国というこの国の隣国出身である。
「久しぶりだね。会えて嬉しいよ」
俺は本心からそう言った。
この三人は俺によく懐いてくれた。
こんな所で再会できるなんて、予想外だ。
「わ、私も再会できて嬉しいです」
ルイズが、頬を染めてモジモジとした。
「私もすごい嬉しい! 先生は相変わらず強いねぇ。カッコイイにゃー」
フローラが、褒めてくれた。
猫の尻尾がゆれている。
こんなに単刀直入に褒められるのは久し振りなので、俺は照れてしまった。
「いや、大したことはないよ」
俺は、頬をかきながら言った。
「そんな事はない。先生は強い。威張って良い。私が認めてあげる」
エルフリーデが、なぜかドヤ顔で言う。
「エルフリーデ、なんで上から目線なんですか?」
ルイズがツッコむ。
俺がクスクスと笑う。この会話のノリは2年前と同じだ。
懐かしいな。
なんだか元気が出て来た。
勇者パーティーから追放された後なので、余計に彼女たちとの会話が心に染みる。
その後、俺たちは、
魔石は魔物の肉体にある魔力を有した石で、様々な用途がある便利な品だ。
通常、高レベルの魔物の魔石ほど高値で売れる。
この無限収納のカバンはそこそこ高価なので、彼女たちはまだ持っておらず、少し驚かれた。
その後、ルイズたちも王都ベルンに行く予定だったらしく、俺も一緒に行くことになった。
全員馬車に乗り、王都を目指す。
俺とルイズたちは、思い出話に花を咲かせた。
俺の席の右にルイズが座り、左にフローラが座る。
なぜか密着されすぎている気がするが……。二人とももの凄い美少女なので、なんか緊張してしまう。
「最初に先生にお会いした時も、さっきみたいに絶体絶命のピンチでしたね……」
ルイズが懐かしさと羞恥が混ざった顔を浮かべる。
「本当に懐かしいにゃ♪ あの時も死ぬかと思ったよ~」
フローラが、自分の身体を両腕で抱きしめながら首をふる。
「ん。先生のお陰であの時も助かった」
対面に座るエルフリーデがコクンと頷く。
「そうだったな」
俺は微苦笑する。
2年前。
初めてルイズたちと出会った時の事を思い出す。
あれはとあるダンジョンでの事だ。
勇者パーティーの一員としてダンジョンに入り、ルイズたちを俺が救ったのだ。
ルイズたちは疲労困憊の状態で、大勢の魔物に襲われていた。
中には、Bランクの魔物もいて、とてもの事、初心者である彼女達が倒せる相手ではなかった。
勇者ハーゲンは、
「素人どもなんて無視しろ!」
と俺に命令した。
だが、俺は制止を無視して、ルイズたちを助けた。
あとで勇者ハーゲンから、
「善人ぶって気持ちが良かったか?」
と嫌味を言われた。
その後、ルイズたちに話を聞くと冒険者に成り立てで、間違って転移魔法のトラップに引っ掛かり、かなり下の階層まで転移してしまったそうだ。
そこは初心者では、とても太刀打ちできないような魔物が出現する階層で、大勢の魔物に襲われて疲弊した後、
あのダンジョンの転移魔法のトラップは巧妙で、初心者どころか熟練の冒険者でも引っ掛かる事があるので、彼女たちを責めるのは酷だろう。
ルイズたちは俺に感謝してくれて、いきなり弟子入りを志願してきた。
いきなりの弟子入りの志願には驚いたが、行動力があるのは良い事だ。
俺は了承して彼女たちに冒険者のイロハを教え込んだというわけだ。
「たった2年前なのになんだか懐かしいな」
俺は微笑した。
「なんだか、今回もそっくりだね。やたらと強い魔物に遭遇しちゃったにゃー」
フローラが、なぜか笑顔で言う。
「笑い事じゃありませんよ、フローラ。先生が助けて下さらなければ死ぬ所でした」
ルイズが吐息をつく。
「まさか、あんな森に
エルフリーデが、無表情で言う。
「確かにね。俺も少し驚いているよ。あの森に
ここは王都の近郊だ。
「やはり魔王の影響で、魔物が活性化しているせいだろうな……」
魔王とは、数百年に一度出現する魔物や魔族たちの『王』だ。
魔王は存在するだけで、この大陸にいる全ての魔獣、魔物、魔族を活性化させて、強くしてしまう。
大陸全土で、日増しに魔物や魔族の被害が広がっている。
「ところで先生。つかぬ事を聞きますが、勇者パーティーとは今日は別行動なのですか?」
ルイズが、ハイエルフ特有の美しすぎる顔を近づけてきた。
近い、近い。吐息が俺の頬にあたる。
「いや、実を言うと勇者パーティーは辞めた……、というよりも追放されたんだ」
俺は苦笑した。
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