障がい者の兄とヤングケアラーの妹の話
&𝔄𝔩𝔦𝔠𝔢
生き甲斐に近しい存在に。
私には、3つ歳の離れた高校生の兄がいる。
私の兄は生まれた頃から身体と知的障害を患っており両親も兄に付きっきりだった。
もちろん、私も物心着いた時には 兄の介護を手伝っていた。小学校低学年、中学年の頃は何も考えず、普通に接していたが高学年になった頃だろうか、私は障がい者の兄に嫌悪を向けるようになっていった自分より優遇され愛されているような気がしとても嫌だった事を覚えている。
どこか行きたい場所、やりたい事が出来ても両親からは
「お兄ちゃんがいるからダメに決まってるでしょ」
の一点張り。
本当は、行けないことだってやりたい事が出来ないって言われるのも分かっていたのだが、もしかしたら…なんて考えてしまっていた。
正直言うとこの頃私は兄を兄として見れていなかった、兄と言うより弟。こっちの方が合っているような気がしていた。
私は褒められる事が少なく、でも兄が褒められているのはよく見ていた、私は我慢しなければならない、私は教える立場なんだと小学生の脳みそで考えていた程だ。
教える立場というものは、両親は私が家にいる時は兄にひらがなやリハビリに近しい事を教えてくれていたからだ。
中学に上がり、嫌悪は増す一方。
そんな時に私は、唯一無二の友人と縁が切れてしまい コミュニケーション方法を忘れ不登校となってしまった。
両親に迷惑は掛けずまいと考えていたものも もうどうすればいいか分からなくなる。
家にいることが増えた私は、兄と一緒に勉強 運動をしていた、今思えばこの時から兄が私の支えになっていたんだと思った、きっと一人ぼっちは辛くて死んでしまいそうになっていただろう。
2年生に上がる前に、1年の時の担任と支援学級の教師 教育委員会の人と家族で2年生はどうするか。と話し合いがあった。
私は思い空気に圧倒され泣いてしまっていた。
そんな時に頭に手が置かれ、母か。と思うとその手の方を見ると 私が散々嫌悪を向けてきた兄だった。
その時私は、お兄ちゃんだ。と認識をした。
どんな障がいを患っていようとも私には、こんなに優しい兄がいたんだと思うと今まで、嫌悪していた事を話し合いの中今すぐにでも謝罪をしたかった。
あんなに大嫌いな介護も兄も今となっては私の生き甲斐に近しい存在となっていた。
障がい者の兄とヤングケアラーの妹の話 &𝔄𝔩𝔦𝔠𝔢 @and_alice0312
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
コンナ音楽堂 ~古今東西アルバム探訪~最新/真野魚尾
★62 エッセイ・ノンフィクション 連載中 88話
「何でも内科」に所属する私の、「何でもない」ことのない日常最新/川線・山線
★102 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,050話
防災のスゝメ最新/天川
★45 エッセイ・ノンフィクション 連載中 29話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます