第2話 憧れの先輩女子 梓

 高橋梓たかはしあずさのことで、今日も恵人けいとから相談があった。

 梓の誕生日を祝ってあげたいという。

 恵人けいとの誘いに対して、あずさは一対一という条件ではいい返事をしてくれないようだ。

 恵人の相談に乗ると言ったものの、慈代にとっても梓は大先輩だ。直接、彼女と話をするのは難しかった。

 そこで、何人かで集まって、あずさの誕生日パーティーをするというのはどうかと投げかけてみた。

 少し考えるようにしていた恵人だったが、そうすることで話がまとまった。そして恵人から、直接、梓に話してみることになった。


 この話は梓も快く承諾してくれた。

 そして誕生日パーティーは慈代やすよも協力することになった。


 それから恵人けいと慈代やすよは、益々頻繁に連絡を取るようになった。電話をすると二、三時間は当たり前のように話をした。

 そして二人の会話は『梓のこと』より慈代のプライベートなことを話すことが多くなってきた。

 プライベートと言っても、慈代は付き合っている男性がいるわけでもなく、アルバイト先や演劇部の仲間に対する愚痴などを恵人が聞くことが多かった。

 そういう会話の中で恵人も彼女が彼に対して心を開いてくれていることが段々わかってきた。


 誕生日パーティーには恵人けいとの同級生の大島良太おおしまりょうた慈代やすよの同級生の川内優香かわうちゆうかが来てくれることになった。


 当日は慈代も少し早めに恵人のアパートに行き準備を手伝うことにした。

 誕生日パーティーの段取りについて慈代と恵人は、毎日のように夜遅くまで電話で話をした。

 夜遅い時間でも慈代にとって恵人の相談に乗ってあげる時間は楽しい時間になっていた。

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