第47話 (閑話)ラノベ戦争回避
ヤッホー、お久しぶり〜。
もうホントにこの作者ったら閑話を入れるタイミングが悪くて…… って、誰に語ってるのかしら、私?
えっと、そうだ、この前は男爵様の奥様とお子様(十三歳、男子)にラノベをお見せしたところまで話をしたよね? 合ってる? そう、合ってるの。
でね、その奥様がカテゴリー(恋愛・ロマンス)と(BL)にどハマりされて、お子様がカテゴリー(ファンタジー)と(ラブコメ)にハマって下さったの。
そして、それぞれを書籍化するって仰ってくださって……
売上の一割を税として納めてくれたら残りはあなた達の物よって言って下さったから、私たち(ワタルくん以外)は書いて書いて書きまくったわ。
先ずは奥様のお茶会にてご紹介していただいて、幾人もの方を【沼】にハメたの。
勿論だけどその時に一緒に来られていたお子様たちにはご子息が【沼】にハメられたわ。
お貴族様用の装丁は少し豪華にしてあって、一冊のお値段も金貨二枚とお高い形にしてたのよ。もう私たち(ワタルくん以外)はウハウハな状態だったわ。
それを見た男爵様が、自分の領民たちの識字率を上げるためにも何とか安い値段で本に出来ないかとご検討にご検討を重ねられて、遂に、銀貨一枚とまだ少し高いけれども、それでも二ヶ月に一度の贅沢品みたいな感じで庶民の方たち用も売りに出される事になったのよ。
そちらの売上については私たちの方から男爵様に五割を税として納めますってお伝えして了承していただいたわ。だって、お貴族様たちからガッポ、ガッポとお金が入ってくるから、さすがに悪いと思ったしね。
で、私たちは貯まったお金で遂に王都に旅する事にしたのよ。編集者のワタルくん(実際には剣聖)に旅行計画をたてて貰って、執筆状況の調整も頼んで、いざ、王都へ!!
すると王都に着いた途端にお城にお呼ばれしちゃって……
国王陛下ご夫妻の私室に連れて行かれた私たち。そこで、国王陛下ご夫妻から、私たちの本を差し出されて
「サインを入れてくれ!」
「国宝認定するわ!」
って熱望されたのよ! 凄いでしょ。その後には王家主催の晩餐会にご招待されて、私たちはワタルくんが作ってくれた名刺をお貴族様たちに差し出して自己紹介をしたの。
でも今は名刺文化も廃れてしまっているようね。クウラくんがまた復活させてくれると嬉しいんだけどなぁ。
王都では庶民の方たちも少し裕福な方が多いみたいで、多くの方が続刊をまだかと待ち焦がれていたから、私たちは観光をしながらも執筆活動を続けたわ。
それをワタルくんが懇意の印刷所(この時代のこの世界に印刷所があって良かったわ)の王都本店に持参して製本して売りに出したらさあ、大変。地方へと出荷する予定だったものまで売り切れてしまって、増刷に増刷を重ねたのは今ではいい思い出なの。
そうこうしていたら王族の方々から地方に戻らずに王都で過ごして欲しいって私たちそれぞれにお家まで用意されてしまって、私たちはワタルくんを男爵様の元に送って事情説明をしてもらったんだけど、それには奥様がお怒りになられたそうで、何とワタルくんと一緒に王都にやって来られて、王妃様に直談判されたのよ。
「メリーラ!
王妃様に向かってそう仰る男爵夫人は学園時代の同級生だそうで、王妃様はご出身が伯爵家であるけれども、男爵夫人は何と侯爵家のご出身なんだとか…… だから遠慮なく文句を言ってるみたいなんだけど、今や王妃にまでなられた方に大丈夫なの? って心配してたら、王妃様が
「カリティア〜、だって、
なんて拗ねたような口調で男爵夫人に仰っておられたの。ホッとしたわ。
「そんなのはみんな同じよ!!
とそんな決まりがあったのねと知らなかった私たちも取り敢えず男爵夫人であるカリティア様に頭を下げて謝罪をしたの。
「カリティア様、申し訳ございません。そのような決まりがあるとは知らずに……」
代表してタカオさんがそう言うと、カリティア様は
「いいえ、これはあなた達の所為ではないわ。わかってて実行した王家の落ち度よ!!」
ってあくまで悪いのは王家だと弾劾なさったの。そこで、国王陛下が王妃様が目配せして止めろって合図を出してるのに気づかれずに口を出してしまったのよ。
「ま、まあまあ、カリティアよ。余も悪かったのだ。まさか王都でここまでの人気を博するとは思わずにおってな……」
その言葉にカリティア様の目から殺気が
「面白い事をいうわね、ローランくん…… 学園時代に戻ってまた
そのカリティア様のお言葉に国王陛下が、
「ヒィッ!?」って叫んで王妃様の後ろにお隠れになったわ。な、何が学園時代にあったのかしら? これはネタだわっ!! あとで詳細を何とかして聞き出さなければ!!
私がそう思ってたら王妃様が解決策を申し出られたわ。
「もう〜、分かったわよ、カリティア。ハイヒット男爵家を今回の功績により侯爵家への
「分かれば良いのよ、メリーラ。それで良いわよねローランくん?」
未だに王妃様の後ろで震えていた国王陛下はカリティア様の問い掛けに一も二もなく頷かれたわ。
こうして、この王国における第一次ラノベ戦争は平和的に解決したの。
えっ? まだ何で私が今のクウラくんの事を知ってるか説明されてないって?
ウフフフ、お楽しみはまだまだ先じゃないと教えられないわ。適度な謎もラノベには必要なのよ。
それじゃ、今回はこの辺で失礼しちゃうわね。
またね〜……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます