第42話 さらば、第三王子
何とか感情を抑える事に成功した僕は箱庭に入ってレイラ嬢と雑談しながら夕食を食べたんだ。
「残念ですわ、今日も皆様が来られると思って腕によりをかけて作りましたのに。明日は皆様、来られますでしょうか?」
「うん、用事は今日だけって言ってたから明日はみんな来ると思うよ、レイラ嬢」
「それならば良かったですわ! 明日は明日で頑張ってお料理を作りますわ!」
うん、でも今日作ったみんなの為の料理を出しても良いと僕は思うんだけど…… まあレイラ嬢が楽しんでいるなら良いや。
「それで…… 何がありましたの、クウラ様。ワタクシでは聞き役になれませんの?」
アレ? ちゃんと気持ちも落ち着けてた筈なんだけど……
「何のことかな、レイラ嬢? 今日も平和だったよ?」
「ウフフフ、クウラ様が左眉を下げられてる時は小さな嘘を吐いておられる時ですわ。ワタクシはまだ学園にも通えない若輩者ではありますがクウラ様の婚約者でございます。どうか本当のことを教えて欲しいですわ……」
少しだけ悲しそうにそう言うレイラ嬢に僕は観念して今日の出来事を話して聞かせたんだ。すると、僕の目の前には修羅が居たよ!!
「ウフ、ウフ、ウフフフフ、ワタクシの大切な婚約者であるクウラ様を怒らせ、更にはワタクシにとってもご友人であるサーフ様まで傷つけるとは、万死に値しますわね…… ウフフフフ、どうやって償わせてやりましょうかしら? 」
ヒィーッ、レ、レイラ嬢が壊れたよ…… 怖い、怖いよ、目の前の修羅が強くなってる筈の僕の心を恐怖心で満たして行くよ……
何気に自分のステータスを確認してみたら三百万を超える僕の気力が六十万代にまで下がってるよ……
は、早く元のレイラ嬢に戻って貰わないと、このままじゃ気力が尽きてしまうよ!!
【基礎情報】
名前:クウラ・ハイヒット(ローカス)
年齢:九歳
性別:男
種族:人族
称号:ハイヒット侯爵(予定) ・デビルスレイヤー
【身体能力】
体力:389,000
気力:628,000/3,628,600
魔力:2,580,000
器用:238,000
物攻:212,000
物防:212,000
魔攻:3,870,000
魔防:3,870,000
【神授スキル】
スキルランクD【剣技】【体術】
スキルランクC【中級属性魔法】
スキルランクX【空間・くうかん・クウカン・Kuukan】【鑑定・かんてい・カンテイ・Kantei】
【身付スキル】
スキルランクA【剣聖】【拳聖】【賢者】
スキルランクS【三ケンの思考】【三ケンの動作】 スキルランクSS【前世の知識】
スキルランクR【ザン剣術(五つの基本型)】
あ、スキルランクRっていうのは僕も分からないけどザン剣術の五つの基本の型が身付スキルとして発現したんだ。Aよりは上でSよりは下なのかなって思ってるよ。
って、早くレイラ嬢に正気に戻って貰おう。
僕はアイテムボックスからレイラ嬢のお気に入り、ボーゲン・ダッシュのイチゴアイスを取り出してスプーンに一掬いしてレイラ嬢の可愛らしいお口にスッと差し込んだんだ。
「うう〜ん! 美味しいですわ〜」
修羅はどうやら去ってくれたみたいだ……
危なかったよ。確認したら僕の気力が二万代になってたからね…… 間に合って良かった。
「クウラ様、あの、その、お手にある残りを頂いてもよろしいでしょうか?」
レイラ嬢からの可愛いお願いに僕は勿論だよと言って手にしていたアイスを差し出した。
「有難う存じます〜。う〜ん、幸せですわ〜」
次からもこの手で行こうと僕は心に誓ったよ。そしてアイスをしっかりと食べて落ち着いたレイラ嬢は、
「それにしても許せませんわ、クウラ様。ワタクシも何かお返しを致したいですわっ!!」
ってさっきの様に修羅にはならなかったけど、憤懣やる方ないという様子でそう言ったんだ。
「う、うん、有難うレイラ嬢。でも今回は僕が一人でやる事にするよ」
腐っても第三王子ではあるし、王族だというのは疑いもない事実だから、後でお咎めがあると考えたなら僕が一人で受ける方が絶対にいいからね。だからレミー嬢たちにも僕がやるって言ったんだし。
けれどもレイラ嬢からは、
「ウフフフ、大丈夫ですわクウラ様。誰もワタクシには気がつきませんから」
って言う言葉が出てきたんだ。僕はハッとしてレイラ嬢のスキルを鑑定してみた。そこには……
【生活保護魔法】スキルランクa
【支援金】
一日二回発動可能、一回銀貨二枚
【管理栄養学】
生活を保護する為に必要な知識
【滅菌魔法】
菌、ウイルスを滅する
【予防魔法】
あらゆる害毒から身体を予防する
【去勢魔法】
女性の敵から身を護る魔法
【移動魔法】
目的地へと光速の五倍の速さで到着
【整理整頓】
要・不要なものを仕分けする
(無機物だけでなく有機物にも適用)
【家政婦の隠密】スキルランクb
【家政婦はイタ】
物事の重要な局面に居合わせる
【家政婦のムタ】
家事全般だけでなく全てのジョブを卒なくこなす
【家政婦のシバ】
食材を見て料理を考えつきその腕は一級品
【家政婦のムタソノ】
超人的な能力を発揮する
ああ、遂にレイラ嬢も人外に足を踏み込んでしまった…… 僕はそう思ったよ。
だって前世で見た【家政婦のムタソノ】は片手で走る車を止めたり、指パッチンで時間を停止したりしてたからね。それらの力を超人的な能力で説明してるんだろうね。
それに恐ろしいのが【整理整頓】だよね。えっと確か広義では人も有機物だって分類されるんだよね……
うん、僕はレイラ嬢に【整理整頓】や【去勢魔法】を使用されないように真っ当に生きていこうと思うよ。
「えっと、その、でもレイラ嬢…… スキルランクが上がって凄い事が出来るようになってるけど、僕としてはレイラ嬢には手を汚して欲しくないというか……」
「あら? クウラ様、ワタクシ手を汚したりしませんわ。整理整頓か去勢魔法を使用するつもりですもの。あ、整理整頓はご心配いりませんわ。部分的な整理整頓が可能ですのよ。ですからサーフ様を傷つけた方には部分的に整理整頓を実行する所存ですわ」
朗らかに言う言葉じゃないよ、レイラ嬢。やっぱりまだ修羅は去ってなかったようだね。
「う、うん。でもやり過ぎは良くないからね。やっぱり僕が……」
「いいえ、クウラ様。このような瑣末な事にクウラ様のお手を煩わせる必要はございませんわ。例え王族といえどもやって良い事と悪い事があるとしっかりとお教えするのも臣下としての勤めかと存じますから。ウフフ、ワタクシにおまかせ下さいませ」
僕はこの時に心の中で思ったよ。
さらば、第三王子…… ってね。
でも明日は絶対にレイラ嬢に手出しさせないように秒で決着をつけようって心に誓ったよ。
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