第14話 (閑話)レイラ嬢の憂鬱
クウラ様が学園に入学されてから早くも一週間が過ぎてしまいましたわ。
ワタクシもできる事ならば一緒に学園に入学したかったですわ。
今、ワタクシはクウラ様の箱庭で日々を送っておりますの。
セバスさんやユルナ姉様がワタクシの家庭教師として毎日お顔を出して下さいますし、クウラ様も学園が終わり、寮のご自分の部屋に戻られるとお顔を出して下さいますの。
それに、そうハニワちゃんたち! クウラ様の事を
「奥様〜、今日の練習用に持ってきたよ〜」
漁師ハニワちゃんがワタクシが魚を捌けるようになりたいと言うと捌きやすい魚を持ってきて下さいますの。
今日はアジですのね。頑張ってキレイに三枚におろせるように頑張りますわ!
そんな感じで始まった新生活ですが、ワタクシちょっと不安がございますの。
実は箱庭からクウラ様の寮の部屋に連れて行っていただいた時の事ですの。
女性の残り香がございましたの。
これはもしや、浮気? ワタクシはそう思いましたのですが、女性の悋気は男性には煩わしいものとユルナ姉様よりお聞きしておりましたので、その場ではグッと我慢致しましたわ。
ユルナ姉様には愚痴を言わせていただきましたけど、直ぐにユルナ姉様が私にお任せ下さいと探りに行って下さいました。
そうしたら、ワタクシの勘違いだという事が分かり、ホッとすると同時にクウラ様の事をわずかでも疑ってしまった事にとても罪悪感を持ってしまいましたわ。
ご学友でもあるレミー様とティリア様は数少ないクウラ様の学園でのご友人だそうで、そこにサーフ様とロート様という男性の方も居られるようでございます。
レミー様はグラシア伯爵家の方で文武両道の方だそうです。
ティリア様は平民の方ですが、ご実家が剣術道場を営んでおられるそうです。
サーフ様はビレイン男爵家の方で、文の方がお得意だというお話です。
ロート様はサーフ様のご縁戚の方で、今は商会の後を継ぐ為に学園に入学されたそうでございます。
お任せ下さいと言ってから僅か二時間ほどでこれだけの情報を調べて来られたユルナ姉様には感嘆いたしますわ。
そこでホッとしていたワタクシにクウラ様が衝撃のお話を持って来られたのはこの箱庭で生活する前のお話。
ご学友であらせられるティリア様のおうちに、ワタクシも一緒にとご招待されたと嬉しそうに申されたのですが……
ワタクシとユルナ姉様の意見は一致しておりますの。ティリア様はどうやらクウラ様に懸想なされていると……
ご招待の前にワタクシと会いたいと仰られていたようですので、そこでそのお話が出るかもと思っております。
ハア〜、やはりクウラ様はオモテになりますのね……
ワタクシの懸念は見事に当たりましたわ。
けれども、もしもクウラ様が第二夫人にと言われましたらワタクシはニッコリと微笑んで了承するつもりでございます。
例え心の中で血の涙を流そうとも、それを表に出すのは恥ずべき事なのですから……
ハア〜、クウラ様とのご旅行は楽しみでございますが、ティリア様とお会いするのは今からとても憂鬱ですわ……
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