第7話 レイラ嬢のスキル
僕は真剣に悩んだよ。スキル【Kuukan】についてだよ。
サクラさんの日記に書かれている事が本当なら安易に検証してみようって訳にはいかないからね。
って、そこで僕は気がついたんだ!?
「そうだったよ! 僕の【鑑定】はスキルランクXになったんだった!!」
そう、この世界最高ランクとされるSSを飛び越えているランクXならば、詳しい説明が見れるんじゃないかと気がついたんだ。
早速僕は【鑑定】を使用してスキル【Kuukan】を見てみたんだ。すると、
【Kuukan】
スキルランクはX
空間、空艦、空観、空寒、空勘、空館、空感、空幹、空乾、空環、空患、空刊、空官、空完、空環、空緩、空貫、空干、空還…… …… 空神を完全に支配し、使役し、使用する。
いや、何コレ…… 知らない言葉もあるよね。【空感】って【そらかん】、
僕は【鑑定】によって知り得たスキル【Kuukan】の情報は誰にも言わないでおこうと心に決めたんだ。でも一度ぐらいは何かを試してみたいなぁとも思ってるんだ。
今度、機会があったならユルナにダンジョン化してしまったという庶民墓地に連れて行ってもらおう。
僕はゴースト系の魔物に【空還】が有効な気がしてるんだよね。だって【
よし、チャンスを見てセバスとユルナに言ってみようっと。
おっと、そう言えば明日はレイラ嬢がスキルを授かる日だったよ。
僕が顔を出したら迷惑になるだろうから、ユルナに頼んで
そうと決まれば今日は箱庭でレイラ嬢に渡すプレゼントを作らないと。僕は自分の箱庭に入る。
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とハニワたちがワラワラと寄ってきて僕を歓迎してくれる。因みに【あしひかり】は品種改良した美味しいお米の銘柄だよ。
他にも【カレイド小町】や【フォーリンラヴ】なんて銘柄米も作っているんだ。
今ではレイラ嬢も時間がある時にお招きしてこの箱庭を堪能して貰ったりしてるんだけどね。
そう、転移陣は上手く機能しているんだよ。僕が居ない時でも来たのが僕に分かるようになってるから、僕はレイラ嬢が来たら直ぐに箱庭に入るんだ。
そして、今僕はハニワに手伝って貰いながらレイラ嬢に贈る
首から下げるペンダント型で、チェーンは
コレを明日、スキルを神様から授与されたレイラ嬢に贈るんだよ。僕は一足先に来年九歳になったら学園に入学する事になる。一年間、レイラ嬢を近くで守る事ができなくなってしまうんだ。
もちろんだけどレイラ嬢には危なくなったら直ぐに箱庭に逃げてねとは伝えているけれども、判断が一瞬遅れて攻撃を受けてしまった時にこの
「よーし! 完成だよ! 手伝ってくれて有難う、細工職ハニワ!」
「
「褒めてくれて有難う。でも大事な所を教えてくれたから出来たんだよ。また、何か作る時は助けてね」
「うん、
こうして、僕は
そして翌日。僕はユルナに連れられて影の中を移動して教会までやって来ていた。レイラ嬢は伯爵家のご令嬢だから順番は後ろの方になるんだ。
先に下級貴族の子供たちが神授スキルの発表を受けて一喜一憂してるんだけど、遂にレイラ嬢の出番が来たよ。
僕はレイラ嬢が一所懸命に努力してたのを知っているから、きっと凄いスキルを授かると思ってるんだけど、はたして……
「ハマース伯爵家長女、レイラの授かりしスキルは、うん? このスキルは初めて見るな? 今までにこのようなスキルを見たことも聞いた事も無いぞ…… まあ良い、そのまま発表するぞ。スキルランク
司祭の言葉が終わった瞬間にハマース伯爵は顔を真っ赤にして怒り、そしてレイラ嬢を置いて出て行ってしまったんだ。
レイラ嬢はオロオロとしながらもそんなハマース伯爵の後ろを追いかけ始めた。僕もユルナに言って影の中を移動して追いかけたんだけど、馬車の前で仁王立ちしていたハマース伯爵はレイラ嬢にこう言ったんだ。
「あれほどお前には優秀な家庭教師をつけてやったというのに、スキルランクD が二つの上に、聞いた事もないスキルなんぞを授かりおって。いったい何をして遊んでいたのだっ!! 私も家庭教師のお前が優秀だという報告を鵜呑みにしたのが悪かったかも知れぬが、それでもこの結果はあまりにも酷い! 良いか、学園を卒業するまでは面倒を見るが、その後は慣例に従ってお前をハマース伯爵家から追放処分とする。ローカス侯爵家への婚約打診も直ぐに取り消しておかねば…… 全く、我が娘ながら嘆かわしい…… 馬車には私が乗って帰る。お前は歩いて戻ってくるのだっ!!」
そうレイラ嬢を罵倒したハマース伯爵は本当にレイラ嬢をその場に残して馬車に乗り帰ってしまった。
後には俯き、静かに泣いているレイラ嬢が……
それを見て笑う下級貴族の親子たち。僕はユルナに頼んで路地裏で影から出てレイラ嬢の元に走って駆けつけたんだ。
「レイラ嬢、無事にスキルを得られたんだね。おめでとう! お祝いしようよ。さあ、僕と手を繋いで」
突然現れた僕にレイラ嬢を笑っていた貴族親子たちが、更に僕に気がついて大きく笑う。
「おいおい、あれは去年、神よりスキルランク
そんな声を無視して僕は泣いているレイラ嬢の手を繋いで、直ぐに箱庭に転移したんだ。ユルナは影を伝って戻ってくるからね。
さてと、泣いてるレイラ嬢に授かったスキルの有能さを説明しようかな。っと、その前にプレゼントを渡した方が良いかな? いやいや、やっぱり説明してからの方が良いよね。
僕はそう思い、更には僕からハマース伯爵家に婚約打診をしようと心に誓ったんだ。
今、レイラ嬢のスキルを役に立たないスキルだと信じているハマース伯爵ならば、同じく役に立たないスキル持ちだと思われてる僕からの婚約打診に一も二もなく承諾してくれるだろうからね。
これで、レイラ嬢が学園に入学してきた時も、僕の婚約者として堂々と守る事が出来るよ。
おっと、考える時間が長すぎたね。早くレイラ嬢の気持ちを落ち着かせてあげよう。
本日はここまで。
続きは不定期更新になりますが、よろしくお願いします。
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