うつらうつら

二月に突然姿を見せる暖かい一日が、わたしは好きだ。

ぴんと張り切った寒さに慣れてしまったわたしの両目は、雲ひとつなくて境界が曖昧な空とじんわり右のこめかみを照る日差しに、瞼の重さに負けてしまう。川沿いを歩いてみれば、去年の秋頃には黄色と薄緑色をごちゃ混ぜにしたようだった優しげな木が、くるんと丸まった枯葉を数枚残して、裸のまま立っている。何もかも開けっぴろげにしてしまったような、まるで変わってしまったよう。つんとした空気を残しながら。洗濯後のシーツのような、大掃除をした後の、広くなって少しだけしゅんとする部屋のような。そばにあった木製のベンチに腰掛けた。足元をうろちょろしている鳩の首元が、エメラルドに反射してちかちかする。お節介な暖かさにまだ慣れずぼんやりしてくるのにまかせて、また次の春が来るのかしら、全部すっかり無かったことにして、なんて、まどろみうつらうつらした。

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