先生

ある日のお昼前の教室。

数学の授業で隣の席に座っていた女の子に「この辺はちゃんとしとかないと死んじゃうわよ」と言われた。どの辺のことを話しているのか、よくわからなかった。僕の知らない専門風の美容液かなにかの名前を出してぺちゃくちゃ喋っている。彼女に病院を紹介された。教室の隅の方に隠れて、スマホで位置を確認していると、いつの間にか先生の顔が目の前にあった。教卓からはなれて僕の首を閉めていた。彼女の顔は、目が開ききっていて、なんだかわからないけど歯並びがとても綺麗なのが目についた。けれど一本一本の歯の表面に浮かぶテラテラと、歯茎に通う桃赤の色合いが、それがまた生々しくて、写実された顔のような、目が離せなくなるような、恐ろしさをただただ感じていた。

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