第3話Sさん、知りませんでした

今は取り壊されたが、実家の近所にSさんが独り暮らしであった。

旦那さんは15年前に肝臓病で亡くなっている。 

Sさんは、僕が21歳の時、朝から晩まで実家の居間でお茶を飲んでいた。

その頃、ナマイキに僕はビールを飲んでいた。

また、19時頃に現れる。

僕は顔をしかめた。

Sさんは、

「お兄さんが怖いから、帰ります」

と、言って去って行く。

母に尋ねると、Sさんは身寄りがなく、知的障害だったのだ。


身寄りがなく、障がい者。

僕はなんて、ひどい事をしたんだ!

それから、Sさんが実家の庭にいると笑顔で対応した。

それから間もなく、Sさんは療護施設に入居した。

それから、大人になり母にSさんの事を尋ねると、今から5年前に亡くなったらしい。

僕は、あの時は、嫌な顔をした自分が恥ずかしい。

もう、遅いが謝りたい。

Sさん、すいませんでした!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

過去の行為に懺悔する! 羽弦トリス @September-0919

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ