_4.あっちこっち旅__
旅一日目。
楽しみすぎて昨日は眠れなかった。
寝なくても支障のない体でよかったって思ってたんだけど、結局新幹線の中で寝ちゃった。
週間って怖いね。
で、寝てたからここがどこだか全くわからない。
この旅館にも寝ぼけたまま来たから外の景色もあんまり見れてない。
お兄さんも「ちょっと待ってて」って言ってどっか言っちゃったし。
『あ、窓あるじゃん』
わー!ってクッションにダイブしたら大きな窓があることに気がついた。
カーテンの隙間に顔を入れると、ふわふわ舞うように降る白い雪ともくもく立ち昇る白い湯気が見えた。
『露天風呂だ……!』
これ、夕日射し込んでたら綺麗だろうな。
「なにしてんの?」
『あ、おかえり』
振り返ると、お兄さんがぬいぐるみを持って戻ってきてた。
『なにそれ』
「なんか貰った。いる?」
白い熊のぬいぐるみ。
『いる!』
お兄さんの手から受け取ると、ぬいぐるみは見た目以上にふわふわしていた。
「目も覚めたみたいだしそろそろ行くよ」
外に出ると、見慣れた形の建物がずらりと並んでいた。
今では見ることが少なくなった、木造で瓦屋根の家。
来たこともないのに懐かしさすら感じる。
まだこの形の建物が残ってたことが少し嬉しい。
美味しそうなお菓子もいっぱいあるみたいだから、あとで買ってもらおう。
旅三日目。
寒い。とにかく寒い。
昨日の夜、ここに着いたときよりはマシだけど寒すぎる。
「出てこーい!」
『やだー!』
私を布団から出したいお兄さんVS布団から出たくない私。
朝からワイワイ攻防戦をしている。
「あー、出てこないなら一人で観光しようかなー?」
『それはダメ!』
ガバッと起き上がり、急いで布団を片付ける。
「行くよー」
『ちょっと待ってよー』
着いたのは雪像が飾られている場所。
キャラクターから立派な建物まで、いろんな像が飾られている。
建物の模様とか柵の細いところまで手が込んでて、相当時間がかかったのが見てわかる。
雪ってこんな形にもなるんだ。
今度少しだけ挑戦してみようかな。
旅六日目。
ここも辺り一面雪景色。冬だからか。
暗くなってからが目的らしいから、それまではゴロゴロ過ごしてていいって。
だかは今日は寝る!
たまには二度寝、三度寝したい!
旅でちょっと疲れたような気もするし。
てことでおやすみ。
ちょっと寝すぎたね。
出るよって言われた時間の三十分前。
超特急で準備をしてお兄さんに着いていく。
段々と見えてきた目的地。
沢山の大きな氷柱が色とりどりにライトアップされている。
青に緑に黄色に紫。
近くで見ると迫力がすごい。
私の身長の何倍もある氷柱が何本も何十本もある。
どの色も綺麗だけど、私は青のライトアップが一番好きかな。
そのままの状態に一番近い色に見えるからかもしれない。
お兄さんも私と同じなのか、青のときに多くシャッターを切っている気がする。
* * *
旅も終わり。
家に帰ってきた。
お兄さんはベッドに入ってすぐ寝ちゃったから、代わりに荷物を片付けておこう。
お菓子も熊ちゃんもいろいろくれたから、これくらいはしておかないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます