夜更けの霹靂

岸亜里沙

夜更けの霹靂


いつもと同じ風景、それがずっと続くと思っていた。

満点の星がまたたく空、落葉らくようの積もる舗道、冷たく澄んだ空気。

並んで歩く君の顔を、街灯が優しく照らす。

人通りはまばらで、静寂が街を支配していく。

家路を急ぐ僕らの行く手を、さえぎるものは何も無い。

夜露に濡れた沈丁花じんちょうげの花壇を横目に、交差点を渡ると広大な畑が広がっている。

あと数時間で太陽が顔を出し、夜空は色を変えるだろう。

しかし突然、君は交差点の真ん中で立ち止まり、遠くを見つめた。

視線の先には明るく光る二つの大きな目。

あまりの光量こうりょうに、僕らは目がくらむ。

夜更けの霹靂へきれきのように、とどろ轟音ごうおん

それはまるで、獲物を捕食する為に猛スピードで迫り来る肉食獣の如く、一瞬にして僕らに向かってくる。

逃げようと踏み出した足よりも早く、その大きな怪物は僕らに牙を剥いた・・・。






「あら、狸のつがいが車にかれちゃってるわ。可哀想に・・・・・・」


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夜更けの霹靂 岸亜里沙 @kishiarisa

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