ツンデレ、タイッム!
夕日ゆうや
ツンデレ少女
『ツンデレ、タイッム!』
それが合図だった。
この声が聞こえてから一分、わたしはツンデレにならなくちゃいけない。
「べ、別にあんたのことなんか好きじゃないだからね!」
「ご、ごめん。なれなれしいよね……」
ショックを受けたように涙目になるリト。
「ち、違うの。わたしは……」
ツンデレ以外の言葉を発しようとすると、喉が詰まる感覚に陥る。
うまく言葉がでないのだ。
そして一分経過。
「リト。わたしはあなたのこと好きよ」
「ほ、本当?」
期待したような目を向けてくる幼馴染み。
いつからか、こんな不安定な関係が続いている。
『ツンデレ、タイッム!』
「ふ、ふん。本当だと思った? ばっかじゃないの」
ツンデレタイムがくると、わたしの思うことと違う言葉が出てくる。
本当に厄介な話だね。
このツンデレタイムがわたしだけに聞こえていること。まるで罰を受けた罪人の気分だ。
これが消えるのはいつになるのだろう。
わたしは虚ろな瞳で天を仰ぐ。
「僕はどうしたらいいのさ」
「リトは今まで通りでいいだよ」
一分の効力が切れて、ようやく本音を話せる。
ちなみにツンデレタイムのことも話せないみたい。
『ツンデレ、タイッム!』
またか。
いつになったら解放されるのだろう。
わたし、悪いことしたのかな……。
ツンデレ、タイッム! 夕日ゆうや @PT03wing
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