【仮】名探偵は留守にしております。

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ある探偵事務所に天才がいた。

人や物探し、浮気調査などの一般の探偵業は勿論のこと、その有能さは警察から捜査協力を依頼され、絶大的な信用と一目置かれる存在だった。

人々はのことを【名探偵】と呼んだ。


そんな彼女が在籍する【立華たちばな探偵事務所】に足を踏み入れたのは、今年刑事課に異動となった新人刑事。

しかし、【立華探偵事務所】にいたのは見るからに頼りなさそうな男性とにこやかに笑う学ランを着た男子学生。

男子学生は新人刑事へ告げた。


「只今、うちの探偵は留守にしております。ご依頼はこちらの所長代理・はなぶさにお願いします」





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「彼女…立花雅はボクの姉です。所長代理は姉の婚約者でした」


「姉は婚姻届を出しに行くと言って、帰って来ませんでした。彼にこれから婚姻届を提出する旨を電話で伝えて行方不明です。行方を眩ませた一週間後に匿名で未提出の婚姻届が事務所に送られてきました」


「あの日、彼はどうしても抜けられない会議があって、提出しに行くのは別日にしようと説得しても姉は聞かなくて一人で婚姻届を出しに行ったんです。彼は一緒に行かなかったことを後悔しています。だからなのか、ずっと勤めて来た仕事を辞めてこの立華探偵事務所で所長代理をしています。本当はボクが所長代理を務めたかったんですが、当時は中学生で何も出来なかった。それが……とても悔しい」





これは、

名探偵の婚約者だった男・英。

名探偵の弟・立花稀宇けう





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