いつか存在する物語たち。
かがみゆえ
【仮】キミは地獄でボクを待つ。
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『―――どんな手を使っても、
理由も分からずに生命を狙われる、
その事を知ったウツワの双子の兄、
ハカルは、最愛の弟であるウツワ…ただ一人の肉親を生命を懸けて守ろうとするが、その真相は―――…?
『―――頼む。何があっても、お前の手でウツワを守ってくれ』
それが、親父が俺に向けた最後の言葉だった。
俺の双子の弟・ウツワにあり得ないほど過保護だった父、西東築が俺へ残した遺言。
俺は『なに馬鹿なこと言ってんだ』と思いながら聞いてたが、その翌日の早朝。
親父は入院していた病院で息を引き取った。
まだ中学生になりたての、俺たちを残して……。
親父の葬儀の日。
ちゃんと親父と最後の言葉を交わせなかったウツワを含め、沢山の人が泣いていた。
……俺だけは、泣けなかった。
哀しい、とも思わなかった。
そんな俺を見て『ハカル君は強いな』なんて言う人もいたけれど、そうじゃない。
……ちょっと待て。
なに勝手に死んでんだよ?
意味分かんねぇよ。
俺の手でウツワを守れって、どういうことだよ?
俺は一体、“何”からウツワを守るんだ?
ウツワを守るのは、ウツワに過保護だった親父、アンタの役目だろうが。
逝くなら、俺が納得する説明をしてから逝けよ、馬鹿親父。
『すまん、ハカル。だが、お前だけしか頼めないんだ……』
親父はあの日、俺に初めて頭を下げた。
ウツワとは逆に、俺には全く過保護じゃなかった親父。
よく見ると、身体は小刻みに震えていた。
―――今思い返してみると、親父は自分がもうすぐ死んでしまうことをを
だから、もう一人の息子である俺に最愛のウツワのことを親父は頼んだのかもしれない。
『わかった』
そんな親父が珍しくて、俺は親父のいる病室から出て行く時、短くOKしてしまった。
親父がウツワのことを守れなくなるなんて、あり得ない。
俺にとっては、口だけの軽い承諾だった。
……まさか本当にそうなってしまうなんて、一体誰が思う?
『ありがとう』
親父のいる病室から一歩出て、戸を閉める時に親父を見ると少しだけ笑っていた。
その笑顔は、哀しげだった。
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『―――良いわ。死ぬ前に“良いこと”を教えてあげる』
何の根拠もなく無意識に“処分”されそうになった
そんなハカルの目の前にある人物が現れて、ハカルの耳元で信じられないことを口にした。
『ごめん、ソクちゃん。ボクね、本当は全部知っていたんだ……』
何も知らなかったのは、俺の方だった……。
親父の遺言の為、生命を懸けてウツワを守り続けた。
それだけの為に今まで何度も死にかけながらも生きてきた。
それなのに、運命は残酷で再び俺の身体を切り刻んだ。
『もう、何一つ信じない』
親父が死んでから、ウツワを守り続けて来た。
そのウツワに裏切られ、その直後にウツワは―――死んだ。
もう守るものも、残されたものも無いはずなのに、今度は俺が生命を狙われるのだった……。
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