第34話余興

ようやくここまで来た、私達は長い旅をへて魔王城にたどり着いたのだ。

魔王はこの中にいる、勇者の直感が示している倒すべき者がいると。

魔王領に入ってから大規模な戦闘も無かった。

魔王スカーレットノヴァは守りよりも攻めを好む、つまり主力は人類抹殺の為に動いているとかんがえるのが自然だ。

魔王軍の戦力の殆どは四天王の使い魔か、魔王の使い魔、魔族は寿命が長い反面個体数が少い。

そのため魔王を倒せば統率が出来なくなり崩壊する。

だから魔王さえ倒せればこの戦いは終わる、だから私は魔王を殺す事だけ考えていればいい。

この日の為に身体を切り取られ、異物を植え付けられた、この日為にこの身を……


音もなく魔王城正門が開く。

誘っている、魔法で姿を隠しているが御見通しか。

「誘いにのろう…入ったら魔王を倒すまで戻れない…良いね?」

仲間達は頷く、私を先頭に魔王城に乗り込んで行く。

「よお…位置は想像がついている姿を表せ…」

四天王先見のアキュラ!

先程の発言はハッタリではないだろう、その証拠に彼は私達の方を指さしている。

私達は魔法をとき姿を表す、そして尋ねた。

「貴方が最初の相手か?」

「いいや、魔王様の勅命でなクーンだっけ?その女と決闘しろって……残りは通せって…」 

「何のつもり?」

「さあ……仇討ちに来た剣士が返り討ちになるという余興だりろうな……」

「巫山戯るな!そんな事!」

「待たれよ勇者殿!」

私は聖剣を抜こうとするがクーンが止めに入った。

「門を開けてくれた礼に余興に付き合ってやる…」

「クーン……」

「本当に仲間は通すのだな?」

「通すさ……メインの余興は勇者とスプライトの戦いだ、魔王様にもスプライトにも手を出すなと言われてる…」

スプライト!最後の四天王泡沫のスプライトか。

「勇者殿行って下さい」

「わかった…これを…」

私はクーンに自分用の呪符を渡した、単騎での回復用に持っていた物だ。

「強力だけど反動がある呪符だ、使用には注意して……」

「勝って追いかけるます」

私達はクーンにその場を任せ奥に進む。



「本当に何もしないのだな……」

私はアキュラに問いかけた。

「無駄な事はしない、不意打ちをかけた所は想像したがどれも失敗だ」

「また、想像か」

本当にこの男の想像力はどうなっているのだ、先程も特に気配を探る訳でもなく、私達の位置を当てたのだ。

「まあ……のんびりやろう、お前が合流したところでスプライトの勝利は変わらない…」

アキュラは剣を構える。

「スプライトとやらは余程強いと見える、お前よりもか?」

軽い挑発のつもりで言ったが、やつは呆れた様子で答える。

「そんな事も知らんのか……スプライトは戦闘より内政の方が好きだからな……知らんのも無理はないか……」

アキュラは満面の笑みを浮かべ、さらに言葉を続ける。

「俺はスプライトの敗北する姿を想像できたことは無い……浮かぶのは何時も決まって勝利した時の姿だけだ…」









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