第33話取引

何度お目通りしてもなれないものね、四天王として何度も魔王様とお会いしているに緊張する。

いえ、ふとした瞬間に自分の命が消えるのではないか?

そんな不安だろうか?

魔王様は無益な殺戮はしない、いきなり殺されはしないだろうが、一度有益と判断したなら私の全てを殺し尽くすだろう。

(私の進言を魔王様は快く思わない…)

私は平静を装い魔王の間に入る、すると私が名乗りを上げる前に御声が掛かる。

「スプライトか……勇者でも乗り込んできたのか?」

魔王様はとぼけている、私の考えなどわかっているはず。

我が主君は聡明であるのだ、暴力飲みで王になったわけてはない。

「魔王様に進言したします、狂った人間共に同胞が襲われています……目的は肉…食料にするためだと報告がありました」

「ほう?人間もやるではないか!」

ああ……そう言うと思った、魔王様はこの状況を楽しんでおられる。

「それで同胞を保護する、為軍を動かす許可を頂きたいのです」

「何?」

魔王様の声に怒りの感情が混ざる、魔王様の理屈では食われる者が悪なのだ。

弱者の保護などろんがいだろう、しかし私は引き下がらない。

「魔王様の主義に反するのはわかっております、ですが、私は同胞を見捨てられません」

「そなたに問う、我の主義を曲げる程の対価はあるか?」

これはチャンスだ、私は考えて置いた対価を答える。

「私一人で…遊星の侵略者アルカノイドが勝てなかった勇者を倒して見せましょう」 

「ほう?」

魔王様の口元に笑みが浮かぶ、思った通り魔王様の興味をひけた。

「勇者達は既に魔王領に入っております、数日の内に魔王城に到達することでしょう」

「それで?」

「幻霧の間で私が一人で迎え撃ちます、魔王様には良き余興になると…」

「そなたの好きにするが良い、だが、そうだなアキュラにも仕事をやれ、確かアキュラを仇と狙う剣士がいたな?その剣士はアキュラに殺らせるのだ」

アキュラに殺らせろか……、剣士が返り討ちになるところが観たいのだろう。

仇に成すすべもなく切り殺され絶望する所を……


魔王様から許しを得た、私は軍を動かし同胞を保護する為動いた。  

同胞を一箇所に集め正規軍に護衛させる、取り敢えずはこれでいい、集落の復興は勇者を倒してから……

あるいは魔王様が倒されてからか……四天王らしからぬ考えかも知れないが、私は魔王様とは違う種の存続を一番に願うのだから。


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