第28話泥沼

「隊長!周辺の探索が終わりましたが、犯人は

国上げる境沿いまでにげたようです!」

「そうか…子供は魔王城に連れて行け…スプライト様の判断に任せよう」

私は部下に子供を魔王城に送るよう指示し賊を追う。

たかが人間相手、そう思っていたが何かおかしい。

今までも下級魔族が人間に遅れを取り犯され、殺された事もあった。

それに関しては嫌悪感はない負けたほうが悪いのだ、魔族は実力主義だ。

敗北したものは勝者に従う、私とて敗北すれば隷属するか、不服ならば死ぬしか無い。

暫く調査を続けると賊達が国境付近で野営をしていた。

『何を!?』

私達は信じられないものを見た。

魔族の子供を火にかけていたのだ、拷問ではないまるで猪や豚を焼くように焚き火の上で焼いているのだ。

見ると周りの痩せこけた人間共は涎を垂らしてみているではないか!

そして他の男どもが縛り上げた女魔族の足をナタで斬り落とそうとしていた。

「やめろ!」

私は魔力弾でナタを持った男の頭を吹き飛ばした。

通常、これで人間は逃げるのだが、彼らは達を見て喜びの声をあげた。

「肉だ…食い物がやって来たぞ!!」 

肉?食い物?正気を失っているのか魔族たる私の姿を食い物と認識してるようだ。

「やっぱ人間より魔族のほうが美味そうだ!」 

「うへへ」

「くっ、狂人が!全員殺せ!!」

私の号令で部下が戦闘に入る。

武装しているが正規兵士には見えない、私達の圧勝だと思っていたが……


「ぎっあぁ」

部下の一人が人間に首を噛みちぎられ悲鳴をあげる。

部下は適切に首の止血をする、回復魔法ではなく、火力を調整した魔法で傷口をやく。

咄嗟の止血は焼いた方が早い。

「はぁ、うめぇな…」

部下を噛みちぎった男は咀嚼しながら言う。

その異様な様子に若い部下が怯んだ。

私の慢心だった、ただの見回りだと思い新人を何人か連れてきてしまった。

私は勝負を付けるべく、ギアを上げる。

一人の首を跳ねるが、奴らは怯まず襲いかかってくる。

相手はグールやバーサーカーではない、人間なのに私とたわりあっている。

何なのだ!ただの飢えた人間ではないのか!

一人殺す度に私は呆れた、火事場の馬鹿力とでも言うのか奴らは下手な正規兵より強かった。

全員始末したが、こちらも負傷者が出た、スプライト様の指示通り対人装備だったので、死者は無いが見回り用の軽装だったら危なかった。

生き残りから事情を聞いたが耳を疑った。

乱暴目的で攫ったのではなく、奴らは全て食料にするつもりで攫ったと言う。

「あの者達は先に子供食べようとしていたのです…子供はすぐ死んで腐ると言う理由で…」

「私は……解体され保存食に……うう、夫は頭蓋骨を割られ脳を……」

何と言う事だろう、スプライト様はこの事を予見していたのか!

勇者者ならば魔族の女子供を襲うような真似はしないし、ましてや食べようとしないだろう。


ある辺境の集落では飢餓状態が加速していた。

「ねぇ……お婆さんの足を貸して貰えないでしょうか?明日か明後日には家のお爺さんの足でかえしますから……」

「しかたないな……ちゃんと焼いて喰えよ…」

男は女に何かの足を渡した。

ある家では……

「もう、ばーさんもじーさんも食っちまったよ…どうすれば……」

「おい……このまま飢え死にするぐらいなら…」

「そうだな…魔族は人間じゃないから食べてもいいよな……」

「ああ……祈っても人を食った俺等を女神様は助けねぇだろう……」

「そうだ!魔王軍がおら達の畑を荒らさなきゃ!」

狂気に身を任せ、ただの村人達は武装する。

生活の足しに売ろうと戦死者から剥ぎ取った、鎧な武器を身につける。

魔族に取って不幸だったのは彼らの中に兵役に駆り出され、毒や奇襲のやり方を軍から教わった者がいたこどだったり









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